宇宙

2023.08.25 17:00

インド探査機が着陸成功、「月の南極」が宇宙開発に重要な理由

ムンバイのネルー科学センターで、チャンドラヤーン3号の月面軟着陸に関するライブストリーミングを見ながら喜ぶ人々(Photo by Ashish Vaishnav/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

インド宇宙研究機構(ISRO)は23日、無人月面探査機「チャンドラヤーン3号」が月面に着陸したと発表した。インドは、旧ソ連、米国、中国に次いで4番目に月面着陸を達成した国となった。着陸したのは月の南極付近で、同地域への着陸は史上初という。

自動着陸シーケンスを開始してから約15分後、チャンドラヤーン3号の着陸船は米東部時間午前8時32分頃に月面に着陸した。その模様は、バンガロールにあるISROの管制室からユーチューブでライブ配信された。

チャンドラヤーンは、サンスクリット語で「月の乗り物」を意味する。この数日前に、ロシアが47年ぶりに月に送り込んだ探査機「ルナ25号」は、軌道を外れて制御不能となり月面に衝突していた。

チャンドラヤーン3号の月着陸船ビグラムは今後、2週間にわたり月面の鉱物組成の測定を試みる。月の南極は他の地域よりも鉱物が豊富だと考えられている。

インドの3番目の月探査ミッションであるチャンドラヤーン3号は、7月14日にインド南部のアンドラプラデシュ州にあるサティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられた。インド初の月面着陸を試みたチャンドラヤーン2号のミッションは、2019年9月6日に失敗に終わっていた。

インド初の月探査機のチャンドラヤーン1号は、2009年に米航空宇宙局(NASA)の月面鉱物マッピング装置「M3」を搭載して月を周回し、月面を高解像でマッピングした。そのデータは、NASAのジェット推進研究所が2019年に月面に水が存在する最初の決定的証拠を確認する上で非常に重要な役割を果たした。

それ以来、月の南極をさらに探査する計画が相次いでいる。月の南極付近には、太陽光の届かないクレーターがあり、飲料水やロケットの燃料に利用可能な水のもとになる氷が豊富に存在するとされる。そのため、南極地域は将来の月面基地の候補地として注目されている。

NASAが2020年代半ばに予定しているアルテミス3ミッションでは、女性と男性の宇宙飛行士各1人が月の南極付近に着陸する予定だ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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