23年5月には、coxcoの「アップサイクルアート」プロジェクトが、歴史ある国際的な広告賞であるニューヨークADC賞を受賞。「アップサイクルアート」とは、穴が空くなどしてしまったcoxcoの服に、ファッションショーに出演したフィリピンの子どもたちが夢をテーマに描いたアートの刺しゅうを施すというもの。サステナブルブランドとしてだけではなく、NPOとの連携が国際的な評価を得た形だ。
「日本ではまだまだ非営利と営利の連携が当たり前ではなく、『将来性や事業性はどうなの?』と言われてしまうことが多いです。それでも、グローバルな視点で我々の取り組みがポジティブに評価いただけたのは可能性や希望を感じることができました。努力が一つ報われたように思いました」
おしゃれ好きで「サンタになりたい」、祖父の夢を受け継ぐ
西側が服を愛する気持ちは、亡くなった祖父から引き継がれたもの。常にカラースーツを身にまとい、幼い彼女に「周りの目を気にせず自分の好きなファッションを楽しみなさい」と教えてくれた。「ファッションについて語るおじいちゃんを見て、服が自分の中で大切な存在になったのかなと思っています。そんなおしゃれでかっこいいおじいちゃんの夢は『みんなを幸せにするサンタさんになること』でした」
祖父の夢を叶えたいと思い、coxcoの創業日はクリスマスイブ。何十年と大切にしてきた洋服のストーリーを語ってくれて「一つのものを長く愛する」ことを教えてくれた祖父の姿勢は、coxcoのブランドの根底にも流れている。愛する祖父のことを語る西側は、一段と明るく晴れやかな笑顔を見せる。
「生まれた場所にかかわらず、誰もが公平に夢を描いて努力できる社会を実現したい。そのためには、ビジネスで社会課題を解決して優しい世界を作っていくことに加えて、世界にはまだまだ取り残されている人たちがいるのでNPOでの取り組みや思想も重要になってくる。この2つを掛け合わせながら、ファションでみんなが幸せになる社会を実現していきたいと思っています」
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にしがわ・あゆみ◎1995年、兵庫県生まれ。神戸女学院大学卒。2019年にサイバーエージェント退職後、20歳の時に始めた「DEAR ME」をNPO法人化。同年12月にcoxcoを創業。