DEAR MEの立ち上げは大学3年生のこと。幼い頃からファッションが好きだった西側は、世界中のストリートスナップを撮影して雑誌を作るという趣味のために、アルバイトでお金を貯めては海外へ一人旅をしていた。写真を撮っていた華やかな街から一歩外れ、自身が宿泊していたエリアには服を満足に着られない子どもたちの姿があった。どんな国や地域にも、きらびやかな街並みの裏には必ず “闇” があることを知った。
「ファッションを好きになれる環境は当たり前ではなかったんだと衝撃を受けました。帰国後、ファッションを楽しめない環境にいる子どもたちのために、何か夢を描けるようなことができないかと手探りで活動を始めました。調べるとストリートチルドレンが最も多い国がフィリピンであることを知り、勢いに任せて DEAR MEを立ち上げ、ファッションショー取り組みを始めました」。
ニューヨークの国際的広告賞を受賞
新卒で入社したサイバーエージェントを退社後の2019年、DEAR MEをNPO法人として登記。同年、coxcoを創業する。「服のかたちをしたメディア」というコンセプトには、服という媒体を通して環境問題や雇用などの社会課題を広めたいという想いを込めている。アパレル事業を立ち上げたのは、7年間のDEAR MEの活動を通してNPOだけでは持続的な活動に限界を感じたことと、coxco Lab卒業生の雇用機会を創出する目的もある。「ブランドの収益の一部をNPOやスクールの活動費に充てることで持続的な運営を維持し、スクールの卒業生を将来coxcoで雇用することでブランドも成長できる。ブランド事業とNPO活動を循環させていく体制の確立を目指しています。会社経営とNPO運営の考え方は全く違いますが、会社だけの思考でも、NPOだけの思考でも私は違う。きちんと両軸を視点に据えた組織作りが重要だと思っているので、まずはきちんとその世界線を確立していきたいと考えています。NPOと事業の両輪での運営は前例がほぼありませんが、人生かけて取り組んでいきたいと思っています」