当期間中、IVS KYOTOでは岸田文雄首相によるビデオメッセージ、Non Fungible Tokyo2023では西村康稔経済産業大臣の基調講演が行われるなど、民間と政府が一体となりWeb3領域を日本の国家戦略として推進する姿勢を国内外に向けて発信する場となった。
「Japan Blockchain Week 」のオーガナイザーでもある箭内実(やない・みのる)氏は、こうしたイベントが、Web3に関わる人だけのものではなくなってきていると話す。Web3の変遷と、最近の業界の変化について聞いた。
NFT誕生でビジネス化に兆し
水野:箭内さんがWeb3領域に関わるまでの道のりについて教えてください。箭内:デジタル領域に関わりだしたのは、2004年からです。今でいうフィーチャーホンのサービス開発や事業開発、マーケティングなどに関わっていました。そして「ICOバブル」と呼ばれた2017年頃から暗号資産が盛り上がりを見せ始め、日本のWeb3企業からマーケティングや資金調達などの相談をもらうようになりました。
当時は「クリプトって面白いよね」「需要があるよね」という感じで、僕自身は個人的な支援活動にとどまっていました。しかしその後ICOバブルが崩壊すると2018年くらいに「NFT」が誕生し、世の中的にも投機的な流れから、一気に現実的なビジネスとしての兆しが見えてきたという印象です。
水野:Japan Blockchain WeekのメインカンファレンスであるNon Fungible Tokyoは、2018年が開催初年度ですが、その頃のイベントはどのような感じだったのでしょうか。
箭内:本当に手弁当で、2011年から国内外でビットコインやブロックチェーンの普及に注力してきた藤本真衣さんと2人で開催にこぎつけました。当初はミートアップに近い形で年1回、NFTやゲーム、周辺エンターテインメントのカンファレンスを行い、同時に色々なプロジェクトのサポートもしていくという時期でした。
Web3黎明期は「個」の存在が支えた
水野:「2018年」というタイミングに何か意図はあったのでしょうか。箭内:先にお話したようにビジネス的な盛り上がりの兆しが見え始めていた時期で、カンファレンスを通じて伝える価値のある情報もたくさんありました。そして日本ではあまり活発ではなかったのですが、海外のクリプトの世界ではカンファレンスやミートアップで著名な登壇者を呼び、イベント自体をパッケージングしてお金を稼ぐ「文化」があったんです。