演者・裏方の両面から「演劇」「お笑い」を突き詰め、最近はバラエティ番組での活躍も見せる蓮見。縦横無尽に新しいエンターテインメントを切り開く彼が、目指す未来とは。
蓮見翔が2020年に旗揚げしたのが、日本大学芸術学部発の男女8人組「ダウ90000」。誰かの日常を覗き見しているかのようなリアルな会話劇を軸に、演劇とコントの両方を演じている。
毎年開催する単独公演(演劇)と単独ライブ(お笑い)は年々人気を博し、今年5月に本多劇場で上演した第5回演劇公演「また点滅に戻るだけ」のチケットも即完。大盛況で幕を閉じた。
「コントの台本を書きたい」
蓮見がこの道に進んだのは、お笑い芸人への憧れからだった。「小学生のころに、地元にさまぁ~ずが『モヤさま』のロケで来て、ファンになりました。それを担任の先生に話すと、『M-1グランプリ』の過去回をまとめたDVDを貸してくれて、ますますお笑いにハマっていきました」
当時、録画して繰り返し観るほどお気に入りだったバラエティ番組は「イロモネア(ウンナン極限ネタバトル ザ・イロモネア)」だ。
そんな中で「コントの台本を書きたい」という思いが芽生え、日本大学芸術学部に進む。そして在学中の2017年に、ダウ90000の前身となる演劇企画団体「はりねずみのパジャマ」を立ち上げた。
「同時期に組んでいた別のコンビでの漫才は全然ウケなくて、『自分は面白くないんだ』と思っていました。でも、はりねずみのパジャマの演劇公演はいつも評判が良かったんです」そこで、大人数が出演する台本を“書く”ことが、自分の得意分野だと気がついた。
「台本を書いている側からしたら『漫才』と『8人でのコント』ではまるっきり競技が違いますが、両方とも“お笑い”のジャンルの中にはある。お笑いは、『とりあえずお笑いをやってみよう』と始めて、後から漫才やコントに分岐していく人が多いと思うんですけど、僕は運良く最初から自分が得意なことをやれていました。結果的には、運が良かったですね」