多数の変異がある「ピロラ」、WHOの監視下に
世界保健機関(WHO)は17日、新型コロナウイルスの新たな変異株「BA.2.86(通称ピロラ)」を「監視下の変異株(VUM)」に指定。BA.2.86が「多数の変異をもつ」点に注目した。CDCも同日、この変異株を監視対象にしたことを明らかにしている。これまでに米国のほか、デンマークやイスラエルで見つかっているという。BA.2.86は、オミクロン株から派生した「BA.2」が変異したもの。BA.2は米国で今年主流になり、一時は感染者の85%を占めた。
米フレッド・ハッチンソンがん研究センターに所属する進化生物学者、ジェシー・ブルームの解析によると、BA.2.86はスパイクたんぱく質の変異がXBB.1.5から36カ所、BA.2から34カ所増えていた。これらの変異数は「最初のオミクロン株を新型コロナウイルスのオリジナル(起源)株と比べた場合の変異数に匹敵する」ほどの多さだという。
次期ワクチン、ピロラにも一定の効果か
BA.2.86は米国では現時点でCDCの変異株トラッカーに掲載されるほど広がっておらず、BA.2と一括りにされている。XBB系統でないため新たな1価ワクチンでは防御できないのではないかという懸念も出そうだが、ファイザーとビオンテックはフォーブスに提供した資料で、新たな1価ワクチンはBA.2.86もある程度防御できるという証拠があるとしている。
CDCによると、米国では5月11日時点で新型コロナワクチンは計6億7672万8782回打たれた。ただ、最新の2価ワクチンを接種した人は米国民の17%にとどまっている。
(forbes.com 原文)