コロナワクチン、追加接種は秋まで待つべきか 新変異株「ピロラ」も出現

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新型コロナウイルスのオミクロン株から派生した変異株「EG.5(通称エリス)」の感染が米国などで広がるなか、ワクチン接種を検討している人は少し待ったほうがよいとの指摘が一部の専門家から出ている。現在の追加(ブースター)接種用ワクチンはオミクロン株の以前の派生型「BA.4」と「BA.5」に対応した2価ワクチンなのに対して、承認待ちとなっている次期ワクチンはEG.5を含む「XBB」系統のみを対象とし、より高い効果が見込まれるからだ。

9月末にも次期ワクチン登場か

米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は6月、米ファイザーやモデルナ、ノババックスなどのワクチンメーカー側に対して、新型コロナウイルスの次期ワクチンは1価とし、対応するウイルスを「XBB.1.5(通称クラーケン)」などXBB系統に絞るよう勧告した。これまでと異なり、以前の変異株をターゲットから外した。

新ワクチンはFDAの承認待ちだ。米CBSニュースによると、米国では9月末には使用できるようになる見通しだが、広く使えるようになるのは10月に入ってからになりそうだという。

FDAが新型コロナウイルスの次期ワクチンを1価にすることを勧告したのは、現在広がっている変異株のほとんどがXBB系統だからだ。FDAによると米国では6月上旬時点で、流行している新型コロナウイルスの95%超がXBB系統だった。XBB.1.5は今年、米国で一時主流になったが、足元では感染者に占める割合は8番目となっている。

XBB系「フォルナックス」も広がる

現在、米国で主流になっているのはXBBの派生型であるEG.5だ。米疾病対策センター(CDC)の推計によると、8月6〜19日の新規感染者ではEG.5感染者が20.6%を占めた。13.3%と2番目に多かった「FL.1.5.1(通称フォルナックス)」もXBB系統のウイルスだ。

モデルナは先週、新たな新型コロナワクチンについて、EG.5などXBB系統のウイルスに対して「強い免疫反応」が確認されたと発表した。先ごろ英医学誌「ネイチャー・メディシン」に掲載された論文によると、新型コロナのどの追加接種用ワクチンでも十分な防御を得られるものの、特定の変異株に対応したものだとそれに対する免疫効果は約1.6倍高まるという。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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