一方で、プラスチックごみの処理方法が大きな問題となっており、近年ではプラスチックを減らすためにさまざまな取り組みが進められている。
そんな中、2021年にスウェーデンの研究者たちによって、プラスチックを食べる酵素が3万種類いると報告された。実は、プラスチックを食べる酵素や生物は驚くほどたくさんいるのだ。
今回の記事では、その一部をご紹介する。
発泡スチロールを食べるスーパーワーム
発泡スチロールはスーパーのトレイや家電製品の包装に利用されているが、非生物分解性でプラスチックの中でも特に処分に時間とコストがかかる。
2015年、アメリカのスタンフォード大学の研究チームは、ミールワームという幼虫が発泡スチロールを消化できることを発見した。
現在では、ミールワームの消化液を摘出し、発泡スチロールの大量処分に役立てるための手段が模索されている。
プラスチックを食べる微生物
ペットボトルに使われているポリエチレンテレフタレートは、使い勝手がよいため幅広く使われており、2024年には約3530万トンが生産されると予想されている。2016年、京都工芸繊維大学の研究チームは、このポリエチレンテレフタレートを栄養源として育つ微生物を発見した。
この発見は世界中の研究者から注目を集め、2020年にはアメリカの研究チームが2016年に発見された微生物よりも最大で6倍速く分解可能な酵素を発表した。
プラスチックを食べるきのこ
2011年、アメリカのイェール大学は、アマゾンの熱帯雨林でプラスチックを食べて成長する珍しいきのこを発見した。さらに、増殖に酸素を必要としないので、プラスチックの埋め立て地でも十分に利用できると考えられている。
しかし、プラスチックを完全に消化するには、生物分解性のものでも数カ月かかってしまう。研究者たちは、この消化のスピードを最適化する研究を進めている。