これまでに60カ国近く旅をしてきて、アクセスが比較的容易ながら訪れたことがなかったのは、エジプトのピラミッドやパリのエッフェル塔のようにわかりやすい「旅の目印」がなく、そこに何があるかわからなかったからという気がする。また、観光に対して国を開いたのが2000年からと、比較的遅かったことも挙げられるだろう。
そもそも「ラオス」という言葉が、「ダイバーシティ」を表している、ということを知る人は少ないかもしれない。
ラオスはわずか734万人の国民ながら、少数民族も含めて50もの民族がいる。大別すると、ラオ族の他に、中国系、ベトナム系、タイ系の4つの民族に分かれる。また、仏教、アミニズム、キリスト教と3つの宗教を持つ。
歴史的にタイとの関わりが深く、現在も国境線のおよそ半分を接する兄弟国のような間柄だが、ラオスにはよりゆったりとした時間が流れているように感じられる。
世界遺産の古都で文化体験
ラオスの古都・ルアンパバーンは、街全体が世界遺産として知られる、メコン川のほとりの宝石のような小さな街だ。15分もあれば端から端まで歩けるコンパクトなメインストリートには、国内で最も美しい寺院とも言われるワット・シェントーンと元王宮が並んでいる。その中心地から程近い場所にある、フランス統治時代のコロニアルな建物を生かし、2010年に生み出されたのが「アマンタカ」。一人一人のゲストの気持ちに寄り添った、きめ細かいもてなしで知られるアマン。ことにアマンタカでは、ラオスの農村文化に根付いた素朴な人々の温かみが感じられ、文化に深く根付いた体験ができるのが特徴だ。