感情を口に出すことで人間関係の中での自分の力が弱まると思い込んでいたり、不安を(恥ずかしさの原因と思うあまり)人間の状態の正常な側面として受け入れるのに苦労していたりすることで、嫉妬深い人間はしばしば感情を瓶詰めにして蓋をしてしまう。このような抑圧は、やがて盗み見、浮気、喧嘩など、あまり好ましくない行動につながる可能性がある。
多くの人が、こんな力ない告白をともないながらセラピーを受けに訪れる。
・「不合理なことだとわかっているんだけど、相手が見ていないときに携帯電話をチェックしてしまうんです。なぜ相手を信用できないんでしょう」
・「心の中を蝕まれているんです。どうすれば、みんなが私たちの関係を脅かしていると感じなくなるんでしょう」
・「これを認めるのは恥ずかしいんですけれど、彼らの成功は私を不快にさせるんです。なぜ素直に祝福してあげられないんでしょう」
では、嫉妬にまつわる誤解を解き、人間関係に亀裂を生じさせないために知っておくべき2つのことを紹介しよう。
1. 嫉妬は感情であり、アイデンティティではない
嫉妬を感じるのは特定の状況に対する自然な反応だが、それが常にあなたという人間を規定してしまうわけではない。時々嫉妬を感じることと、それを決定的な特性として受け入れることを区別することが大切だ。『Psychiatry and Clinical Psychopharmacology』(精神医学および臨床精神薬理学)誌に掲載された研究では、86組の夫婦を対象にこの現象を掘り下げた調査が行われた。洞察に富む結果が出た。男女ともに、自分を「嫉妬深い」とする人がかなり多かったのだ。この結果は、この感情が普遍的であることを指し示しているが、このような自認が人間関係の命運を決めるわけではないことを忘れてはならない。