研究チームは、銃乱射事件の発生リスクを予測するため、50年以上にわたるデータを分析。論文の共著者であるアイオワ州立大学のキャメロン・マッケンジー教授によると、銃乱射事件の発生件数は1970年代以降、10年に1件の割合で増加している。
発生率が特に高いのは、人口の多いカリフォルニア、テキサス、フロリダ、ニューヨーク、ペンシルベニアの5州で、これらの州だけで全体の44%を占めた。
研究チームは、NPO「バイオレンス・プロジェクト」が作成したデータベースを基に、1966~2020年に発生した銃乱射事件の傾向を分析した。同NPOは、公共の場で銃器によって4人以上が殺害された事件を銃乱射事件と定義している。この定義に基づくと、デラウェアやアイオワなどの州では、銃乱射事件がこれまでに一度も発生していない。
研究チームは、銃乱射事件が最も多いカリフォルニア州とアイオワ州を対象に、9種類の公共の場所(レストラン/バー/ナイトクラブ、幼稚園/小中高の学校、職場、宗教施設、商店、大学、政府庁舎、住宅、屋外)で銃乱射事件が発生する確率を計算した。両州ともに、銃乱射事件が発生する可能性が最も高い場所は職場で、次いで商店、レストラン/バー/ナイトクラブだった。
幼稚園/小中高の学校は7番目、大学は8番目だった。カリフォルニア州最大の高校で銃乱射事件が起きるリスクは、アイオワ州最大の高校の約10倍だった。
マッケンジーは研究の動機について、銃乱射事件が近年「恐ろしい」ほど増加しているとのニュースを読み、発生件数が本当に増加しているのか、それとも報道やソーシャルメディアが原因でそのような印象が生まれているだけなのかを確かめたかったと説明している。