宇宙

2023.08.23 14:00

新発見の「西村彗星」、9月中旬見ごろに いまから準備を

shutterstock.com

数年前のネオワイズ彗星、数カ月前のいわゆる「緑の彗星」(ZTF彗星)に続いて、来月、肉眼で夜空に彗星を観察できるチャンスが訪れそうだ。日本のアマチュア天文家が新たに発見した「西村彗星」である。

星空ガイドアプリ「Star Walk」の天文ニュースなどによると、正式名を「C/2023 P1 (Nishimura)」というこの彗星は、西村栄男(ひでお)さんが8月13日(日本時間)に太陽のすぐ近くで発見した(編集注:西村さんが発見した彗星は3個目)。15日に国際天文学連合の小惑星センターが確認している。

いつ、どこに見られる?

西村彗星は現在は大型の望遠鏡でなければ見えない明るさだが、9月12日ごろ、しし座にあるときに、肉眼で見える明るさになると予測されている。宇宙や地球に関する情報サイト「EarthSky」によると、三日月や金星の近くに見られそうだという。

彗星の場合、5等級前後が肉眼で見えるかどうかの境になる。自ら光を放つ恒星と違い、彗星は「拡散」した天体で、ぼんやり広がっているのが主な理由だ。観察するときは双眼鏡や望遠鏡を用意しておくとよいだろう。

予測が外れることも

Star Walkによると西村彗星は17日、おとめ座に位置するときに太陽に最も接近し、4.0等級まで明るくなる見通し。この明るさだと肉眼で容易に確認できるだろう(編集注:Star Walkによると太陽に近づくため、観測できる時間は短くなる)。

悪いニュースは、しし座は東の地平線上に夜明けの数時間前しか見えないということだ。また、彗星は予測に反して明るくなったり暗くなったり、さらに形が崩れてしまったりすることも少なくない。

次に肉眼で見えそうな彗星は?

西村彗星の次に観察できそうな明るい彗星は「C/2023 A3 (Tsuchinshan-ATLAS)」彗星(通称A3彗星)だ。8万年あまりかけて太陽を周回する長周期の彗星である。

膨大な数の彗星のふるさとである「オールトの雲」からやって来るA3彗星は、すでに内太陽系に入っており、2024年10月10日に太陽に最も接近する。

北半球では日没直後、南西方向の空に見えるはずだ。金星と同じくらいの明るさになる可能性もある。

北米ではポンズ・ブルックス彗星も

ハレー彗星級の巨大な彗星であるポンス・ブルックス彗星(12P/Pons-Brooks)は2024年4月21日に太陽に最も接近し、6月2日に地球に最も接近する。

1812年に発見されたポンス・ブルックス彗星は71年かけて太陽を周回する。北米で2024年4月8日に起こる次の皆既日食の際に見える見通しであることが、最近明らかになった。

今年はハレー彗星にとっても特別な年である。1986年に最後に内太陽系で目撃されたハレー彗星は、2023年12月9日に地球から最も遠ざかり(その距離およそ35天文単位で海王星の軌道の外側に出る)、その後、内太陽系へと戻り始める。次に地球の空に明るく輝くのは2061年の夏と見込まれる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事