AI

2023.08.24 12:00

ハーバード大教授と共同創業 AIリスクに立ち向かう日本人起業家

Forbes JAPAN編集部
2031
創業からわずか数年、AIリスクはど真んなかの社会課題となった。22年11月、ChatGPTが登場。そのあまりの利便性の高さに、社会は魅了されると同時に、恐怖を感じ始めた。日本企業は、AIのリスクを過度に警戒しAI自体を活用しないか、リスク対策に時間をかけすぎているケースが多いという。リスクが怖くて足踏みすることによる機会損失が、あまりにも大きい。

そう考える大柴らが提唱するのが「攻めのガバナンス」だ。AIを積極的に利用するために、守りに見えるAIリスク管理の体制を第一に整えるという発想である。政府への提言にも力を入れる。日本では、自民党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」に参加。AIリスク対策に関するガイドラインをまとめるよう求めた。

AIリスクという巨大な人類の敵に、あらゆる角度から立ち向かう大柴。最後に、そのモチベーションの源泉を問うた。

「グーグルのミッションには“organizethe world’s information ”という一文がありますが、10年前に出てきたサービスは、情報をまとめることに価値がありました。しかし、そこから生まれるテックのひずみを見てきた世代として、ソフトウェアはもっと思想をもつべきだと思うんです。人間の代替として自動で意思決定を行うAIに『フェアな意思決定をさせる』なら、それがどんなものか人間が定義しないといけない。でなけば、勝手にAIが意思決定してしまう状況に来ている。AIリスク対策のプロダクトを開発すれば、AIを介して行われる人間の営みに『こうあるべきだ』と提言ができます。

つまり、プロダクトを通して、『こうすれば、社会は良くなるはずだ』という思想を社会に入れられる。これが、僕のモチベーションの根底にあるかもしれません」

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おおしば・こうじん◎ロバストインテリジェンス共同創業者。開成高校卒業後、渡米。ハーバード大学卒。大学在中に「AIの脆弱性」を研究テーマにAIのトップ会議に複数論文が採択。2019年、当時の指導教授ヤロン・シンガーと同社を共同創業。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=帆足宗洋(AVGVST) スタイリング=千葉 良(AVGVST) ヘアメイク=KUNIO Kataoka(AVGVST)

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年10月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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