民主主義の黒子
「政治にかかわる活動には怒りがつきものですが、僕にはそれがないんです」伊藤にも、PoliPoliという会社自体にも推し進めたい特定の政策テーマはない。
「何か意見を通したいのではなくて、問題のある仕組みをなんとかしたい。政策は、社会の意思決定で、何を解決するかは、社会が決めること。僕らはその意思決定を補完する民主主義の黒子なんです」
政治に革命を起こしたいのではない。やりたいのは、機能のアップデートである。「政治をリスペクトして『ここを変えたら、社会は良くなりませんか』と、フラットに提案する姿勢を大切にしています」
政策共創──政策は政治家や官僚がつくるものではなく、社会と一緒につくるものとする、PoliPoliの要にある考え方だ。政治は特殊な世界ではない。生活の根幹に政治があり、日常の延長線上に政策がある。PoliPoliの挑戦はこうした政策観の大転換でもある。生理用品を買うお金がなくて困るといった日常の困りごとを政策化し、解決の糸口をつくってきた。
「政策は誰にとっても、社会を変える手段。認識も変わり始めていて、変えてきた自負もある。もっと変えていきたい」
政策の民主化には、フローレンス代表駒崎弘樹という先駆者がいる。駒崎は政策の根拠となる先行事例をつくり、政策提言から制度を変革する主体を政策起業家と呼び、推奨する。駒崎の14歳年下にあたる伊藤は、駒崎が源流をつくった政策共創を加速させる。テクノロジーでの仕組み化、事業・解決課題・資金源のグローバル化に挑むPoliPoli。政策共創を、黒子として進める。
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いとう・かずま◎PoliPoli CEO。一般社団法人Govtech協会 共同代表。1998年生まれ、愛知県出身。慶應義塾大学に入学した2018年、俳句アプリ「俳句てふてふ」を発表し、毎日新聞へ事業売却。同年、PoliPoliを創業。政策共創プラットフォーム「PoliPoli」をリリースした。