フォーブス選出「次のユニコーン」25社、AIとデータ系の注目企業

自動運転EVトラクターを製造する「Monarch Tractor」(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

フォーブスは8月15日、毎年恒例の「次のユニコーン(Next Billion-Dollar Startups)」リストの2023年版を発表した。米国には、ベンチャーキャピタル(VC)が支援するスタートアップが5万社以上存在するが、評価額が10億ドルを超えるユニコーンはそのごく一部だ。フォーブスは、2015年から毎年、トゥルーブリッジ・キャピタル(TrueBridge Capital Partners)の協力を受けてこのリストを発表しており、今年も次のユニコーンになる可能性が最も高い25社を選出した。

厳しい市場環境の中でも、優れた起業家たちは人工知能(AI)やソフトウェア、データを駆使して強靭で長続きする可能性の高い企業を作り上げている。最新のPitchBook-NVCAベンチャー・モニターのデータによると、今年上半期にVCがスタートアップに投資した金額は330億ドルだった。昨年1年間の実績は1670億ドル(約24兆円)であり、今年に入りVCの投資額が大きく減少している。

エンジニアリングチームを支援するソフトウェアを開発し、今年のリスト入りを果たした「ジェリーフィッシュ(Jellyfish)」の共同創業者でCEOのアンドリュー・ラウ(Andrew Lau)は、マーケットの冷え込みが同社を優位にしていると考えている。

「世界が効率化を図ろうとする中、我々は人々がどのような課題に直面し、助けを必要としているかを理解しており、限られた経営資源をよりうまく配分する方法もわかっている」とラウは話す。彼は、1年半前に調達した7100万ドルを蓄えていたことに安堵している。「私を含む3人の共同創業者は頑固で古い考えをもった起業家だ。我々は市場のサイクルを十分に経験してきた」と彼はいう。

リストの作成に当たっては、トゥルーブリッジがVCから得た情報とフォーブス独自の調査をもとに、200社以上の候補を集めた。これらの企業について、トゥルーブリッジが売上高や成長率、従業員数などの指標の分析を行った後、フォーブスが創業者にインタビューを実施した。

今年最も注目すべき企業の1つに、自動運転EVトラクターを製造している「Monarch Tractor(モナーク・トラクター)」が挙げられる。同社は昨年、2200万ドルの収益を上げ、今年は少なくともその3倍を見込んでいる。他には、急成長中のプロバイオティクス・メーカーで、糖尿病患者の血糖値コントロールを支援する製品を開発した「Pendulum Therapeutics(ペンデュラム・セラピューティクス)」が挙げられる。
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編集=上田裕資

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