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2023.08.25

米スーパー大手が頼る「AI発注管理ソフト」を産んだ起業家

(c)Afresh Technologies

米アイダホ州ボイシに本社を置くスーパーマーケット大手Albertsons(アルバートソンズ)は、年間売上高780億ドル(約11兆円)を誇る同国最大級の食料品店チェーンだ。昨年から、果物や野菜、袋詰めサラダなど、賞味期限が短い生鮮食品の需要予測と発注を効率化するため、Afresh Technologies(アフレッシュ・テクノロジーズ)というスタートアップの人工知能(AI)ソフトウェアを導入した。

「当社は、AIの力で、スーパーの在庫を顧客の好みに合わせて最適化します」と、アフレッシュのマット・シュワルツ最高経営責任者(CEO)は語る。

サンフランシスコを拠点に2017年に始動したアフレッシュは、売上高はまだ推定1000万ドルに満たないが急成長しており、これまでにスパーク・キャピタルやインサイト・パートナーズなどから約1億5000万ドルを調達した。同社のソフトウェアは、アルバートソンズに加え、ウィンコ・フーズやフレッシュ・タイムを含む約3300店舗のスーパーで導入されている。売れ残っているリンゴやブロッコリー、トマトの数をiPadに入力すると、発注すべき量が自動的に提案される仕組みだ。

食品廃棄を追跡調査する非営利団体ReFEDの推計によると、米国で廃棄される生鮮食品の総額は年間280億ドルにのぼる。シュワルツによると、店舗は多めに発注をする傾向があるため、生鮮食品では5〜6%、調理済み食品ではその2倍が廃棄されている。これは環境に悪影響を及ぼすのみならず、店舗の利益を減らすことになる。

アフレッシュを利用することで、平均で食品廃棄を4分の1削減し、青果販売の営業利益を40%上昇させることが可能だという。「当社は、顧客企業の最高財務責任者(CFO)に対して、目を見張る数字を叩き出せることをアピールしています」とシュワルツは言う。

仕入れ費用の高騰に直面する食品スーパーにとって、これは歓迎すべきことだ。昨年10月、業界1位のKroger(クローガー)との合併計画を発表したアルバートソンズは、全2200店舗にこのソフトウェアを導入し、2030年までに食品廃棄物をゼロにすることを目標としている。
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編集=上田裕資

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