熊本から一躍世界デビューした二人の素顔は?
どうして「伝統文様」をアプリにしたのか?
──同じ大学の、しかも同じ飯村伊智郎先生の研究室から2人が同時入賞するなんて、快挙ですよね。山田:「Swift Student Challenge」には飯村研究室から5人が応募していて、うれしいことに僕たちは入賞できたわけですが、5人のチームでやり遂げることができたと思ってます。というのは、開発中は研究室メンバーとあれこれ議論したり、コードを教え合ったり、デザインに刺激を受けたりしていたからです。
秋岡:「これで何ができるか分からない」って、かなり率直な声ももらったんですけど、UI、UXを改善できたのはメンバーのおかげだと思ってます。
──受賞したアプリはどんなものなんですか?
秋岡:私が開発したのは「Japattern Legacy」というものです。36種類の日本の伝統文様をクイズで学べるアプリです。もともと私は高校で茶道部に入っていて、日本の伝統文化に興味はあったんです。茶道具のデザイン、帛紗(ふくさ)の柄や色彩が私の中にいつの間にか根付いていたのかもしれませんね。
それで文様について調べてみると、一つ一つに家族の健康や豊作を願う思いがこめられていると。自分のアイデアを世界に発信できるかもしれないイベントに出品するのだから、世界に日本の良さを伝えられるアプリにしたいと思って作りました。
山田:僕も日本の伝統文様をテーマにしたアプリなんですが、アプローチは秋岡さんと違って「文様が持つデザインの無限大の可能性」を可視化するものです。
幾何学的な伝統文様は、点・線・面を平行移動、反転、拡大、縮小といった操作を加えながら連続して組み合わせたものですよね。でも、基本的には工芸品に使用されるときも手描きなので、線の太さや背景色との組み合わせなどの比較がしにくく、線を太くするとどんな変化があるかといったイメージもしにくい。
これを解決するためのアプリで、手描き文様にプログラミングを掛け合わせ、日本の伝統文化の無限の可能性を可視化することにも成功できたかなと思っています。
──お二人とも日本の伝統文様をテーマにしたアプリになったのは……。
山田:打ち合わせしたわけではなく、蓋を開けてみたら同じだったという偶然です。僕の場合、祖母がパッチワークを趣味にしていて、それで文様柄に興味を持っていたことがきっかけでした。