その3週間前には、ウクライナ国境から約180キロメートル離れたロシア南部ブリャンスク州にある工業用地が、5V28によって爆破された。
ロシア側はこれまで複数の5V28を撃墜したと主張しており、直近では8月12日に占領下ウクライナ南部クリミア半島の上空で撃ち落としたと発表している。だが、これらの主張は信ぴょう性を疑われても仕方ない。ロシア側が迎撃した証拠として示している映像は説得力に欠けるからだ。
「ロシアは5V28ミサイルを撃墜したという主張を繰り返しているが、迎撃映像とされるものに、AK27F/TG02推進剤が燃えた時に出る黒褐色の大きな煙が空に漂うなど、一目瞭然の証拠が映っている映像はない」とテレンコも指摘する。
実際のところ、ロシアが5V28を撃墜できていなくても、それは失態というわけではない。5V28は最高速度がマッハ4(音速の4倍、時速約4900キロメートル)に達し、最大射程をたった5分で通過するので、大半の防空システムにとって、飛来する5V28に迎撃ミサイルを命中させるのは容易でないのだ。
米国の最も優れた防空システムであっても、これほどの速さで移動するミサイルを撃ち落とすのにはちょっとした運も必要になる。もっとも公平を期していうなら、ウクライナ空軍が運用する米国製パトリオットミサイルは、マッハ5(時速約6100キロメートル)以上で飛行すると言われるロシア軍のキンジャル極超音速ミサイルの迎撃に成功している。
(forbes.com 原文)