状況はこうだ。iPhone 14およびiPhone 14 Proの一部のユーザーが、使用開始から1年未満でバッテリーの健康状態が大幅に低下したと報告している。テックレビューアーのロン・セイドマンは、iPhone 14 Proのバッテリーが「約2週間ごとに1~2%」失われていると述べ、現在88%だと述べている。一方、何人かのiPhone 13所有者は、2年近く使用しても、ほぼ同じか、それ以上のバッテリーのパーセンテージを保っているとRedditで主張している。
アップルによれば、このレベルの劣化は正常であり、容量が80%以上であれば保証ではバッテリー交換しないとしている。もしどうしてもiPhone 14のバッテリーを交換したい場合は、アップルに99ドル(日本では1万4900円)を支払う必要がある。そこで、もう1つ、第三者にバッテリー交換を依頼するという選択肢もあるが、そうするとアップルのシリアル化(個別部品に固有のシリアル番号をふる)のポリシーにより、新たなリスクが発生する。
アップルは、個々の部品に固有のシリアル番号をふった集積回路を追加している。iPhone 14のバッテリーを交換する場合、アップルからのみ購入できる純正部品を用意する必要があり、それに対応する固有のシリアル番号をAppleの独自ソフトウェアを使用して部品に同期させる必要がある。
つまり、非公式バッテリーを使用した場合には一部の機能が正しく動作しない可能性があるのだ。他のiPhone 14から取り出した純正バッテリーを再利用する場合でも、そうなる可能性がある。iCorrectの創業者で修理スペシャリストのリッキー・パネザーによれば、アップル独自のソフトウェア(ロジックボード上のシリアル番号と新しいパーツを同期させる機能がある)を使ってパーツをペアリングしないと、一部の機能が使えなくなる可能性があるという。
「『バッテリーの状態』を知る機能がすぐに失われます。新しいバッテリーがアップルの純正部品かどうかわからないというメッセージが設定に表示されるのです」とパネザーは説明する。
このため、バッテリーを交換したい人が選べる選択肢は、アップルに99ドルを支払うか、デバイスと新しいバッテリーが互いに認識されるようにICの内容を転送できるマイクロエレクトロニクスを専門とする修理店を見つけるかのどちらかに厳しく制限されることになる。また、そうした修理店もバッテリーを取り出すための、別のiPhone 14用バッテリーの在庫を持っていなければならない。
後者の選択肢は、アップルから新しい部品を購入したりアップルに修理を依頼するよりも安価なことが多いが、これを行うことができる企業はほんのわずかだ。パネザーは以前、私に「修理は専門家を通じて行わなければならず、英国にも世界中にも私たちのような人は多くありません」と語っている。
シリアル化の問題はiPhone 14に限ったことではない。パネザーは以前、iPad ProではApple Pencilが直線を描くのに苦労することがあることを発見している。また、MacBook Proでは、ロジックボードに新しいパーツを同期させずに画面を交換すると、小さな白い影が現れることがあるという。
(forbes.com 原文)