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地方創生が叫ばれる昨今だが、シャッター街を尻目に東京の勢いは益々盛んである。オリンピック・パラリンピックを控えているだけではなく、芸術都市計画から国際金融センター構想まで、話題に事欠かない。極限まできた観のある東京一極集中を抑え、人口減少と経済停滞に悩む地方を再生しようとする発想はよくわかる。

だが、長きにわたって枢要な存在でありながら、スランプから抜け出せない「東京以外の大都市」をどう生かすかの視点も大切だ。
 
初夏とは思えない日差しの強さに汗を拭う北浜の交差点。周囲を睥へい睨げいする五代友厚の像の前で、大阪証券界の重鎮が述懐する。「昔、この地で大阪国際金融都市の検討を大真面目にやったもんですわ」。
 
1983年の秋に新構想研究会なるチームが発足し、大阪を国際金融センターに育てていこうとの一大運動が開始されたのだという。この意気が87年に日本初の株式先物取引「株先50」を生み出し、その後ETFの先駆けともいえる投資信託を世に送り出した。現在、日本の証券デリバティブ取引が大阪取引所に集中しているのも、新構想研究会のDNAなのかもしれない。
 
しかし、結局、金融の集積地は東京になってしまった。大阪発祥の金融機関大手は拠点を東京に移し、事業会社の財務も東京中心になった。証券では東京証券取引所が圧倒的な存在である。今更、大阪を国際金融都市に、と言っても厳しい。
 
大都市大阪も衰退傾向にある。域内の総生産額は東京の4割程度にまで低下、関西国際空港の貿易額は成田の半分以下で、外国企業数は東京の20分の1にも満たない。
 
70年の大阪の総生産額は東京の6割の水準にあった。地歴史上、東京との差を最も詰めたこの年、大阪では万博が開催されていた。大阪再飛躍のヒントはこの辺りにあるような気がする。大阪府がまとめたリポートは大阪の弱点は「文化・交流」の低さだと指摘する。世界の都市総合力ランキングを算出している森記念財団によると、大阪は文化・交流分野では30位に低迷している。研究・開発の11位に比べて明らかに劣る。45年前の万博の成功体験を今に生かし「皆でワイワイ」のお祭りを盛んにしていくことが、元気を取り戻すための有効な方策なのだと思う。
 
たとえばかつて首都圏では、上方のお笑い文化をかなり異質なものと捉えていた。大阪の気さくだがマッタリと濃い人情は、東京人にはやや重い異文化に感じられていた。
 
しかし現在、時間帯や番組を問わずテレビで関西芸人を見ないことはない。元来大阪は食文化の発信地でもある。テーマパークは内外の来客で賑わい、難波あたりにはアジアの観光客が詰めかけている。個性的なミニシアターやライブハウスも少なくない。
 
大阪文化を生かしつつ世界から誘客できるエンターテインメントの殿堂を作る、文化・交流のコンテンツ制作拠点を展開して世界中のクリエイターを集積するなどして、クールジャパンならぬクールオオサカを志向するのも手ではないか。大阪の経済規模は東北6県合計の1.2倍、北海道の2倍もある。得意技の「人々を楽しませる文化」を生かせば大きな波及効果を期待できる。
 
北浜の重鎮が運転する年代物の外車は堺筋を南下する。「ビリケンを拝みに行きまひょか」。ビリケンとは、米国生まれで顔はアジア人、体躯はアフリカ人といわれる愉快な福の神。大阪再生はなるほどビリケンにあやかればいい。

川村雄介

 

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