食&酒

2023.08.24

Z世代の腸が老化の傾向 脂質過多の食事が原因か

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人間の腸の中には約1000種類の細菌からなる腸内細菌叢が形成されていて、多様な菌が共存して心身の健康を保っている。つまり健康な人ほど多様性が高い。そこに偏りが出ると、肥満、2型糖尿病、アレルギー、精神疾患、大腸がんなどの疾患を招きやすくなる。腸内細菌叢の多様性は加齢とともに失われていくが、なんと20代の若者たちが、50代に似た好ましくない状態になっていることが研究によってわかった。それは食事と大いに関連がある。社会や環境に対する意識が高いとされるZ世代だが、腸内環境には意識が向いていないようだ。

腸内細菌DNA検査サービスを提供する医療系スタートアップSheepMedical(シープメディカル)は、2016年から2023年にかけて実施した検査で蓄積された腸内細菌叢データとライフスタイルデータから年代別の腸の状態を解析したところ、20代の若者の腸の状態が悪化していることがわかった。腸内細菌叢の多様性と食生活から判定する同社独自の「腸年齢判定」によれば、もっとも状態が悪いのが50代。これは加齢の影響で仕方がないが、そのほかに成人男女の平均をわずかに下回ったのが20代だった。
腸内の状態、Aが良い、Bが普通、3が悪い。

腸内の状態、Aが良い、Bが普通、3が悪い。


また、長期の食生活から腸内細菌の生息状況を見る「型判定」では、20代の腸内細菌叢の変容が大きく表れた。健康な人の腸内細菌叢のパターン(エンテロタイプ)は、バクテロイデス(1型)、プレボテラ(2型)、ルミノコッカス(3型)があり、日本人は3型と混在型が多いとされている。ところが20代の若者の過半数が肉食が中心の欧米人に多い1型だった。SheepMedicalは「コンビニ食など脂肪分が多い食事がメインになっている傾向がうかがえる結果」としている。

バクテロイデスは肥満の抑制に関係しているとして「痩せ菌」ともてはやされてもいるが、大切なのは多様性。バランスが崩れると、うつ病などの精神疾患を含むさまざまな病気にかかりやすくなる。若い人たちは、とかく食生活が乱れがちなのはわかるが、病気にかからないよう、しっかり腸活に励んでほしい。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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