この訓練プログラムの実施で、ウクライナの同盟国のうち少なくとも1カ国は余剰のF16戦闘機をウクライナに供与することがほぼ確実となった。わからなかったのは、どの国が供与するのか、それからロシアとの戦争に変化をもたらすにはこの俊敏な超音速戦闘機F16が何機必要なのかということだった。
構想発表から3カ月経った現在、この2つの疑問に対する答えがそろった。予想どおり、オランダとデンマークが自国の空軍がF16に代わってロッキード・マーティンの新型ステルス戦闘機F35を導入するのにともない、保有するF16の多くをウクライナに供与することを約束した。
これらのF16は、ウクライナ軍の航空戦力の展開方法に大きな変化をもたらすはずだ。長距離攻撃への移行は最近、ウクライナ空軍パイロットの平均寿命を何年も延ばしている。また、F16が加わることでウクライナ空軍は1.5倍に増強されるかもしれない。
オランダ空軍は、大規模な近代化が施された42機のF16をウクライナ空軍に引き渡す。デンマーク空軍は同じく機能向上が図られた19機のF16を供与する。これらの計61機のF16は来年初めまでにウクライナに到着するはずだ。
パイロットの訓練には時間がかかるかもしれない。ウクライナ政府は、F16訓練の第1弾として32人のパイロットを選出した。北大西洋条約機構(NATO)の飛行訓練を受けるにあたり、英語力は必須だ。32人中、英語が堪能なのは4人。残りの28人は英国で英語を学んでいる。
在欧・アフリカ米空軍司令官のジェームズ・ヘッカー大将は「その後、パイロットらは操縦についてもう少し訓練を受け、それからフランスに行ってジェット練習機のアルファジェットを飛ばす。それには時間がかかる」と記者らに語った。