アナリストは、アップルがインドで最新のiPhoneを製造するのは、中国におけるサプライチェーンの問題に対処するためだと指摘する。主要な中国工場のひとつがパンデミックとその後の抗議行動によって閉鎖された後、アップルは2022年のホリデーシーズンの需要を満たすのに苦戦し、iPhoneの供給不足に直面した。
さらに、米中間の緊張の高まりも、アップルが中国以外での製造に注力する一因になっている。米商務省は昨年10月、中国のチップメーカー、長江メモリと米国企業との取引を禁止したが、アップルもこれを受け、長江メモリからのiPhoneのメモリ向けチップの調達を中止したとNikkei Asiaは報じていた。
マイクロソフトも最近、Xboxの製造の一部をインドに移し、アマゾンも同様にベトナムでFire TVデバイスの製造を開始した。アナリストグループCreative StrategiesのCEOのベン・バジャリンによると、製造業が中国から離れていく中で、ベトナムは主要な受益者のひとつになっている。
アップルがインドでiPhoneを生産するようになった背景には、インド政府が電子機器に課す輸入関税が非常に高いことも挙げられる。例えば、iPhone 14のベースモデルは、米国では799ドルで発売されたが、インドでは7万9900ルピー(980ドル)と、米国よりも約23%割高だった。
価格の高さが障害となり、アップルのiPhoneのインドのスマートフォン市場でのシェアは、5%程度に留まっているが、これは見方を変えれば、巨大な成長の機会が眠っているとも考えられる。アップルは、人口14億人のインド市場のポテンシャルに期待している。
アップルは2017年にインドでiPhoneの製造を開始したが、当初は旧型や廉価版の端末のみを製造していた。今年1月、インドの商務大臣は、現在インドで製造されているiPhoneは全体の5%〜7%であり、これを25%に引き上げることが目標だと述べていた。
iPhoneの製造を受託するフォックスコンは今年初め、インド南部のバンガロールに、7億ドルを投じて新たな工場を建設すると発表した。しかし、それでもなお、インドでの生産量は中国での生産量の「ごく一部」にとどまり、製造コストが安い中国が今後もiPhoneの主要な製造拠点であり続けると専門家は述べている。
(forbes.com 原文)