ハッシュタグ「#beepollen」がついた動画の総再生回数は9970万回を超えている。また「#beepollenboobgrowth(ビーポーレンで胸が大きく)」というハッシュタグの動画は計1500万回以上再生された。多くの人がこれらのハッシュタグを使い、ビーポーレン摂取による胸の大きさの「ビフォー・アフター」を紹介している。
もちろん、大勢のTikTokユーザーが個人的な「バストアップ」体験を語っただけでは、科学的な証拠にはならない。彼女たちがどのような人々で、何をしたのかがわからなければ、その主張の信ぴょう性は検証できない。実際にビーポーレンを摂取していたのかどうかさえわからないのだ。
また、ビフォー・アフターの写真も証拠にはならない。出会い系サイトを利用したことのある人なら誰でも知っているように、写真を撮る時には、角度を調整するだけで、体のいろいろな部分を大きく見せたり、小さく見せたりできる。また最近では、さまざまな方法で加工された写真や動画もよく出回っている。
では「ビーポーレンでバストアップ」という主張には、医学的根拠があるのだろうか? ビーポーレンについては、さまざまな主張がなされていることは確かだ。関連製品を販売する者の中には、これらの主張をソーシャルメディア上でまさに花粉のように広めようとしている人もいるようだ。
花粉は、花を咲かせる植物が作り出す粉状の物質だ。その粒の中には、いわば「花の精子」である雄性配偶子が2個含まれている。花粉は風や水、鳥やハチなどの生物を介して、花のめしべに到達する。ミツバチは花の蜜を集めるとき、花粉も同時に集めて別の花に運び、その花を受粉させる。受粉した植物は、繁殖のための種子を作ることができる。