北米

2023.08.18 10:30

亡命希望者が大量流入 NY市の負担額、3年間で1.7兆円超の可能性

Getty Images

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米ニューヨークのエリック・アダムス市長は、亡命希望者が現状のペースで同市に到着し続ければ、市が住居などを支援する亡命希望者の数が2025年までに推定10万人に上り、3年間で総額120億ドル(約1兆7600億円)を投じる必要が出てくると警告した。米国最大の都市であるニューヨークには、メキシコとの国境を越えて入国した亡命希望者や移民が大量に押し寄せている。
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アダムス市長は、2023会計年度に費やされた資金はおよそ14億5000万ドル(約2100億円)に上ると説明。24年度には47億ドル(約6900億円)を投じる見込みだとした。

アダムス市長は、同市が何の支援も得られず、亡命希望者が現在のペースで流入すれば、さらに70億ドル(約1兆円)の資金を調達しなければならなくなると語った。

アダムス市長はニューヨーク州に対し、財政支援のほか、全州規模の亡命希望者流入削減戦略を展開し、州が運営する収容施設を増やすべきだと訴えた。
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連邦政府に対しては、財政支援だけではなく、ニューヨーク州境において緊急事態を宣言し、亡命希望者の受け入れを全米各地に配分することや、受け入れ処理を迅速化することを求めた。

アダムス市長は9日の会見で、「ニューヨーク市は、破綻した移民制度の後始末をさせられている」と批判。「州政府や連邦政府が政策を転換したり、追加支援を行なったりしなければ、当市は(23~25年の)3会計年度で、総額120億ドルもの資金を投じることになる」と述べた。

アダムス市長によると、今春以降、ニューヨークに流入した亡命希望者は約10万人。そのうちの5万7300人が、同市が提供する住宅やシェルターに滞在している。現在のペースが続けば、市の施設の滞在者数は10万人まで増加する可能性があるという。

また、状況が改善されなければ、ニューヨーク市は、下水設備、公園、消防を合わせた予算とほぼ同額の資金を移民対策に投じることになるとされている。

ニューヨーク市は「住居の権利」法により、住むところを必要とする人には一時的な滞在先を用意することが市当局に義務付けられている。

米国とメキシコの国境沿いでは、2021年はじめ以降、不法入国者の検挙者数が最高記録に近い水準に達している。こうした傾向についてバイデン政権は、中米での貧困と暴力が原因だと主張。対する共和党は、トランプ政権時に実施された厳格な移民規制の一部をバイデン政権が解除したことが一因だと批判している。

移民の一部は、ニューヨークなどの大都市に移動している。そうした移動を、メキシコと国境を接するテキサス州の州当局や自治体が支援する場合もある。アダムス市長はかねて、ニューヨーク市の収容施設はほぼ限界だと発言し、州政府や連邦政府に対して、移民危機に対応するための支援を繰り返し要請してきた。

アダムス市長は7月、移民流入を減らす試みとして、同市南部の市境で亡命希望者にチラシを配布すると発表。チラシには注意書きとして、ニューヨーク市に来ても支援を受けられる保証はないことと、「ニューヨーク市は住居費が非常に高い」ことが記されている。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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