そうした状況は、たくさんの富を蓄積する絶好の機会を彼らに与えた。米国のベビーブーマー世代は、現在地球上で最も裕福な世代だ。フォーチュン誌によれば、彼らの平均純資産は97万~120万ドル(約1億4200万~1億7560万円)の間となっている。
1950年代後半から1980年代にかけては、大学に行かず、有利な仕事に従事していなくても、多くの家族が比較的良い暮らしをしていた。大学で学位を取得するために、多額の借金をする必要はなかった。住宅も手が出る価格だった。この世代は、前例のない、40年にわたる株価上昇と住宅価格の恩恵を大いに受けた。
金融市場情報会社Cerulli Associates(セルーリ・アソシエイツ)の分析によると、ベビーブーマー世代および、彼らの親である「沈黙の世代」に関しては、2045年までに84兆4000億ドル(約1京2350兆円)の資産相続が生じ、そのうち72兆6000億ドル(約1京625億円)が、相続人に直接渡るという。こうした富の移転は、住宅購入、学生ローンの返済、旅行、高級品の購入、株式市場への投資などに関するミレニアル世代の能力に、変化の波をもたらすだろう。
ミレニアル世代は親であるベビーブーマー世代から恩恵を受ける
ベビーブーマー世代は、そろそろ第一線から退く時期にさしかかっている。引退後の生活プランを立て、子や孫に富を分配する方法について検討している人は多い。この世代の人々が、現在、米国家庭の富の半分を保有していることを考えると、こうした大規模な資産を保全し譲渡することは、巨大な仕事になるだろう。ベビーブーマー世代は、子どもであるミレニアル世代に多額の財産を残すと予想されている。彼らの子孫には68兆ドル(約9950兆円)以上が遺贈されると推定される。こうした大きな富の移転によって、ミレニアル世代は、米国史上最も裕福な世代になると予想されている。
ミレニアル世代はこれまで、景気後退や、法外な大学授業料とても手が届きそうもない住宅価格、そして親世代とは比較にならないレベルでの「生活の維持」に対処しなければならなかった。そうした彼らにとって、富の移転は運命を大きく変えることになるだろう。