相続における落とし穴
これは、全体としてはミレニアル世代にとって良いニュースだが、彼らが相続を期待する額と、高齢化したベビーブーマー世代が実際に遺す予定の額との間には、食い違いがあるかもしれない。Alliant Credit Union(アライアント・クレジット・ユニオン)が最近おこなった調査によると、ミレニアル世代の半数以上は、親やその他の家族から約35万ドル(約5100万円)の遺産を受け取ることを期待している。しかし、ベビーブーマー世代の55%は、遺産は25万ドル(約3660万円)以下しか残さないつもりのようだ。
ベビーブーマー世代にとって、雇用の安定とキャリアアップは、常に上昇軌道にあった。しかし、その傾向は永遠に続くものではない。市場サイクルの常として、将来的に調整局面に入ったり、不況が起こったりする可能性はある。自分が生きているうちに財力が保たなくなることへの不安から、ベビーブーマー世代は、生きているうちに子どもに財産を渡すのではなく、お金を持ち続け、より長く労働市場に参加することを選ぶかもしれない。
医療費増加や平均余命の延長により、ベビーブーマー世代は晩年に経済的困難に直面する可能性があり、そうしたことが、ミレニアル世代が相続できる額に影響を与える可能性があるわけだ。
一方、ミレニアル世代にとっては、相続税がかなりの額になる可能性がある。大金を手にすることは、複雑でリスクが高い、難しいプロセスだ。それに、すべてのベビーブーマーが巨額の富を築いているわけではない。
富の移転がもたらす大きな変化
ミレニアル世代への富の移転は、労働市場の変化をもたらすだろう。相続したことで、起業する者がいたり、仕事を休んで旅に出たり、仕事以外の関心事に時間を費やしたりする者が出るかもしれない。富の流入は、高級品やサービスなど、特定の産業に対する需要の増加につながる可能性もある。富の受け渡しは、経済に大きな影響を与えるだろう。ミレニアル世代は、2030年代までに現在の5倍の富を保有するようになると予想されている。これは個人消費、投資、経済成長の増加につながる可能性がある。投資に資金が回され、株価市場で株価上昇が生じるかもしれない。
高金利と価格高騰のせいで住宅市場から締め出されていた状況も、まもなく変わるかもしれない。新たな富を得たミレニアル世代は、新しい住宅や、休暇を過ごすための別荘さえ購入できるかもしれない。
住宅を購入すると、家具をそろえ、物件をメンテナンスする必要も出てくるので、それがまた経済を刺激する。より多くの住宅が求められるようになれば、住宅価格も上昇するかもしれない。
(forbes.com 原文)