気候変動や乱獲により天然魚の漁獲量が減ったこの20年ほどで魚の養殖の需要が世界で激増したが、そこで問題になっているのが餌だ。じつは養殖魚の餌はおもにカタクチイワシの魚粉が使われている。結局は天然資源に依存していることに変わりがない。さらにその魚粉は輸入に頼っていて、価格は20年前の4倍程度に高騰したという。これがイワシの乱獲を招く心配もある。そこで魚粉を使わないサステナブルな餌の開発が各方面で行われている。そのひとつが昆虫だ。
愛媛大学が使っている昆虫は、ミルワームというチャイロコメノゴミムシダマシの幼虫。雑食性で繁殖力が強く、アミノ酸や不飽和脂肪酸を多く含み、小さなスペースで簡単に飼育できて環境負荷が低いと、いいことづくめだ。同大学は、ミルワームを自動飼育する装置の開発に乗り出した。協力するのは大日本印刷。「印刷で培った機械設計から大量生産に関する技術や経験」を活かして動物性飼育原料の国産化を目指すとのこと。研究段階から事業化のフェーズに進むことになる。
これから愛媛大学は、ミルワームのための実験室を新設し、そこで育ったミルワームをプロテイン源とする餌で魚がどう育つかを確認する。また、2024年3月にはミルワームの自動飼育装置を開発し、ラボ規模の施設を建設する予定。将来的には年間100トンのミルワーム粉末を生産できるミルワーム飼育工場を建設するとのことだ。
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