複数のスタートアップが配信プラットフォームを展開し始めているなか、2020年9月のサービス開始から2年半で流通総額35億円以上に急成長しているのが「ピースユーライブ」だ。専用アプリやブラウザ上で、企業や個人が商品を販売できる。同社で事業責任者を務める藤瀬公耀は「今後日本でもライブコマースが当たり前の販売手法になる」と断言する。
日本でライブコマースが注目されている理由、そして同社が配信プラットフォームとして頭一つ抜け出せた理由とは何か。藤瀬に聞いた。
yahooや楽天は過去に撤退
世界のBtoC EC市場規模は、2021年時点で700兆円を超える。その半分以上を占める中国では、2016年頃からライブコマースが盛り上がった。商品や配送の質に対する信用の低い中国において、KOL(キーオピニオンリーダー)と呼ばれるインフルエンサーがライブで紹介する商品は信頼を集め、販売を大きく伸ばしていった。一方で日本においてライブコマースは、「来そうで来ない」というのがこれまでの流れだった。
商品や物流に対して信頼の高い日本では、誰から買うかによって品質に差が生まれることはほとんどない。そこがライブコマースがなかなか流行らない理由の一つだと言われてきた。事実、yahooや楽天、メルカリ、BASEなどが参入するも、軒並み撤退している。
そうしたなか、ECを取り巻く環境では、プレイヤーが増加したことで広告費が高騰し、特に新規参入事業者は売り上げを上げることも難しくなっている。それを受けて台頭してきたのがライブコマースだ。
ピースユーライブ上では、のべ3000人(企業を含む)以上がライブコマースで商品を販売している。実際に、実店舗で配信を行い2日で6000点の商品を売り上げる企業や月に1000万円以上を売り上げる元アパレル店員の主婦など、売れる配信者が次々に誕生している。
またユニクロは、ピースユーライブがサービスを開始した3カ月後の2020年12月に、自社運営のライブコマース「UNIQLO LIVE STATION」をローンチ。コロナ禍に「ライブ配信」が定着したことも後押しし、累計視聴者数が1000万人を超えたと発表した。
他にも配信プラットフォームを立ち上げるスタートアップ企業が出てきている。