映画

2023.08.19 09:30

大ヒットの映画『バービー』、一部の国では物議 その言い分は?

DFree / Shutterstock.com

DFree / Shutterstock.com

バービー人形を題材とした実写映画『バービー』が今週、アルジェリアで上映禁止になった。ジェンダーやセクシュアリティーを扱ったテーマが理由とみられる。同作は米国をはじめ各国で大ヒットを飛ばしている半面、作品内に登場する地図を問題視してベトナムも上映を禁じるなど、いくつかの国で物議を醸している。

アルジェリア

アルジェリアのメディア「24H」によると、同国の文化・芸術省は今週、首都アルジェ、オラン、コンスタンティーヌの3都市にある映画館に、バービーの上映を「即時」中止するよう通達した。7月19日の公開以来、チケットはこれまで連日完売していたという。ロイター通信の取材に応じた当局者は、この映画は「同性愛など西洋の倒錯を助長」し、「アルジェリアの宗教や文化に関する信条に反する」と述べている。

クウェート

クウェート当局は先週、バービーの上映を禁止すると発表した。国営クウェート通信(KUNA)は当局者の話として、「クウェートの社会や公共秩序にそぐわない思想・信条」を助長するとの判断に基づいた措置と伝えている。ただ、当局者は具体的にどのシーンが問題視されたのかは説明していない。

レバノン

レバノンでは8月31日にバービーの封切りが予定されているが、一部の当局者は他の中東諸国に倣って上映を禁止する可能性があるとしている。AP通信によると、レバノンのムハンマド・ムルタダ文化相は、バービーは「信仰および道徳の価値観」と相容れず、「同性愛と性別移行」を助長するとして内務省に禁止を求めた。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ムルタダは、バービーは結婚の必要性に疑問を呈し、母親の役割をばかにしているとの見方も示したという。
advertisement

中東では、宗教上の理由で映画の上映やテレビ番組の放映が禁止されるのはとくに珍しいことではない。最近の作品でも『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』『エターナルズ』『ウエスト・サイド・ストーリー』などが、登場人物に同性愛者が含まれるのを理由に一部の国で禁止されている。
次ページ > アジア諸国でも物議

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事