映画

2023.08.19 09:30

大ヒットの映画『バービー』、一部の国では物議 その言い分は?

ベトナム

ベトナム当局は公開前にバービーの上映を禁止した。作品内に登場する地図に、南シナ海で中国が主張する境界線「九段線」が描かれているというのが理由だ。配給元の米ワーナー・ブラザースは「子どもが描くような」お絵かきだと説明し、ベトナム側の見解に反論している。

フィリピン

バービーは今月、フィリピンでもあやうく上映禁止になりかけた。フィリピンの政府機関、映画・テレビ審査・分類委員会(MTRCB)の声明によると、ベトナムの決定を受けてMTRCBは1週間にわたって審査を実施した。結論としては、問題の地図に九段線は描かれておらず、描かれているのは「バービーの架空の旅のルート」だと判断された。ただしMTRCBは声明のなかで、過去には作品内で九段線を提示した映画製作会社や配給会社に制裁を科したことがあると言及している。

日本

作品の内容自体が問題になったわけではないが、バービーは日本でも反発を招いた。米国で同日に公開された「オッペンハイマー」と掛け合わせた「バーベンハイマー」という造語がSNSで広がるなか、バービーと原爆のキノコ雲を絡めた画像などに、X(旧ツイッター)のバービー米国公式アカウントが好意的な反応をしたのがきっかけだ。

原爆の被害を茶化しているとして日本のSNS上で非難が巻き起こり、ワーナーの日本法人も「極めて遺憾」だなどと米本社を批判した。米ワーナーは謝罪に追い込まれた。

世界興収12億ドルに迫る

映画の興行成績を集計しているウェブサイト「ボックス・オフィス・モジョ」によると、7月半ばに公開されたバービーの世界全体の興行収入はこれまでに12億ドル(約1750億円)近くに達している。

全米興行収入は16日時点で5億3740万ドル(約790億円)を記録し、ワーナーの配給作品としては2008年の『ダークナイト』を上回り過去最高になった。世界興行収入も近く『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(現在13億ドルあまり)を超えて今年1位に躍り出る見通しだ。

(forbes.com 原文 1 2 3

翻訳・編集=江戸伸禎

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