本記事ではその中でも、最高賞の「テースト・マスター」に選ばれた銘柄を紹介しよう。とはいってもサプライズはなく、今年もまた、名高い蒸留所「バッファロー・トレース」がトップの座に輝いた。同蒸留所のウイスキーには、まったく外れがないようだ。毎年秋に「パピー・ヴァン・ウィンクル」を発売しているのはこの蒸留所であり、さらに「ウェラー」や「E.H.テイラー」「スタッグ」「ジョージ・T・スタッグ」といった受賞歴のある銘柄を次々と世に送り出している。
そして、今年のアメリカンウイスキー・マスターズでは、バッファロー・トレースのケンタッキーストレートバーボン「イーグル・レア17年」が最高賞に輝いた。同蒸留所は2000年以来、高い評価を得ているアンティーク・コレクションの一部として、イーグル・レアを毎年発売している。今回受賞したのは2022年発売のもので、度数は101プルーフ(50.5度)、熟成期間は17年5カ月だ。
審査員はその味を「甘いコーヒーの風味があるすばらしいモルティなアロマと、ほのかな辛味とスパイスがきいた滑らかな口当たり」と評している。
ただし問題なのが、入手方法だ。バッファロー・トレースは、毎年10月にアンティーク・コレクションを発表する際、イーグル・レア17年の小売価格を99ドル(約1万4000円)と控えめに設定している。しかし、その質の高さと、限られた流通量により、実際にはその10倍の値でもすぐに売り切れるのが現状だ。あるサイトでは、なんと2700ドル(約39万円)で販売されていた。
いら立たしくはあるが、需要と供給を考えると致し方がないことでもある。今回さらに受賞歴が増えたことで、価格低下の望みはいっそう薄くなった。
では、どうすればいいのか? 毎年10月上旬~中旬の発売を狙って近所の酒屋の前に陣取ることもできるが、正確な入荷日はわからないのが難点だ。その代わりに、普段飲みに適した10年ものの「イーグル・レア」を試してはいかがだろうか? ベースとなるウイスキーは17年もののイーグル・レアと同じだが、手ごろな価格で購入できる。
あるいは、バッファロー・トレース以外の評判の良い蒸留所が生産し、イーグル・レアと同様にトウモロコシが多くライ麦が少ないマッシュビル(原料比)のケンタッキーバーボンを試してみよう。「ノブ・クリーク15年」は、熟成年数と度数がいずれも近いが、価格は1本130ドル(約1万9000円)と手が届く範囲内だ。
そう遠くない昔、イーグル・レア17年のようなウイスキーが店頭でほこりをかぶっていた時代があったことを忘れないように。同じように、これから大人気の銘柄となるものが、どこかに埋もれている可能性がある。それを見つけるのは、あなたかもしれない。
(forbes.com 原文)