2023.09.03

時代を読む、ストーリーのあるホテル No.31「フォションホテル京都」

夜景になるとフォションのテーマカラーであるピンクが映え、エレガントな内装が見えてくる。パリに本店を置くフォションが世界で2番目のホテル出店地として京都を選択。

暑い夏も残りわずかと思うと名残惜しい。世界中を飛び回ったトラベラーたちも、祭りの後やヴァカンスの後はそろそろ翼を休め、元のライフスタイルに戻る季節がやってくる。

この夏、多忙で休みを謳歌できなかったという人は、まだ残暑の残る今、せめて週末のホテルやリゾートで、自分流の短い休暇を楽しんではどうだろう。

日本の2023年は、数えきれないほどの魅惑のホテルが新規開業。

さらに、数々の老舗ホテルでも新たな戦略が披露されている。

ホテルジャーナリスト せきねきょうこ


FAUCHON MEETS KYOTO「フォションを五感で味わう」グルメホテル

フォションホテル京都のホームぺージには、「パリと京都、シンクロする2つの都市」という言葉が書かれている。パリも京都も、世界のトラベラーたちがこぞって訪れる歴史的な古都。「フォションホテル」はまさにそのパリの中心地にあり、さらに海外進出の初の舞台に、世界遺産に登録されている日本の特別な街を選んだのも必然であったのだろう。

ピンクが華やかな10階のレセプション(フロント)。チェックイン・アウトはこのスペースで。

ピンクが華やかな10階のレセプション(フロント)。チェックイン・アウトはこのスペースで。


グルメの世界で知らない人はいないハイクオリティブランド‘フォション’のホテルは、こうして果たした海外進出は日本が初の舞台となり、世界で2軒目のフォションホテルが開業した。2021年3月16日、京都の桜が咲き誇る穏やかな春の時期だった。地上10階建て、客室は全59室が揃う。ホテル全体のメインコンセプトには「FAUCHON Meets Kyoto. feel Paris.」と掲げ、古都を代表する人気の2都市の魅力をシンクロさせている。

ブランドカラーのフォションピンク・ホワイト・ブラック・ゴールドを、 和と洋それぞれの素材・技術で表現。全室にグルメバーが置かれている。 写真はフォションホテル最上級のプレステージスイート(61㎡)。

ブランドカラーのフォションピンク・ホワイト・ブラック・ゴールドを、 和と洋それぞれの素材・技術で表現。全室にグルメバーが置かれている。 写真はフォションホテル最上級のプレステージスイート(61㎡)。


パリに最初のフォションホテルが開業した少し後、待ちきれずにパリを訪れた。いかにもパリらしいエレガンスを漂わせ、マドレーヌ寺院を借景に、歴史ある美しい建物がホテル用にリノベーションされていた。エントランスを入った時からフォションワールドに包まれ、世界的な焼き菓子‘マカロン’がホテル内のいたるところに置かれ、「いつでも自由にどうぞ!」と小さなプレートが添えられていた。到着時、多くのゲストがレセプションデスクの上に置かれたマカロンを、チェックインしながら手を伸ばしつまんでいた。最も驚いたのは、各室内に置かれた巨大な‘グルメバー’だ。焼き菓子やチョコレート、マカロン、紅茶類、そしてサラミやオリーブ、缶詰めなどワインに合そうなおつまみ類もぎっしりと詰められ、「食べきれない方はお持ち帰り自由」と言われ、スーツケースに詰めてお土産として持ち帰る人もいると聞かされた。

シックで落ち着いたデザインはスイート(56㎡)のベッドルーム。

シックで落ち着いたデザインはスイート(56㎡)のベッドルーム。

日本の伝統工芸が融合、フォションピンクが美しいクラシック(35㎡)。

日本の伝統工芸が融合、フォションピンクが美しいクラシック(35㎡)。


さて、そんなダイナミックなDNAを持つフォションホテルが、2021年3月16日、京都に開業した。パリでの朝食は、目の前のマドレーヌ寺院を眺める優雅な時間だったが、ここ京都では、ホテル最上10階のレストランから、京都五条の景色や神社仏閣の様子を、絵葉書を見るかの如く視野に入れ、古都の光景をダイナミックに俯瞰で眺める朝食タイムである。京都のホテル関係者がパリと京都の2施設の共通点をこう語ってくれた。「例えば鴨川とセーヌ川、教会と神社仏閣、フォションの紅茶と京都の茶道、フランス料理と京料理など。このようなたくさんの伝統的共通点を、ホテルのホスピタリティやデザインに込めました」と。なるほど、2つのホテルがシンクロナイズする環境やデザイン、伝統文化など、それぞれに誇りを纏う2軒の姿が重なった。

ダイニングレストラン「グラン カフェ フォション」でいただく朝食。 フル・ブレックファストの「フォション ブレックファスト」(4.950円)

ダイニングレストラン「グラン カフェ フォション」でいただく朝食。 フル・ブレックファストの「フォション ブレックファスト」(4950円)

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文=せきねきょうこ

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