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2023.08.19 08:30

国交省「手ぶら観光」を凌駕? 荷物配送からレンタルへ、手ぶら旅の快楽

石井節子

Getty Images

旅行には何かと荷物がつきものだ。美容グッズやリラックスアイテムなど、旅を快適なものにしようと思えば思うほど荷物は膨れ上がってしまう。

かねてより国土交通省は、訪日外国人旅行者の利便性をアップさせるために「手ぶら観光」を推進している。しかしそれはあくまでも、荷物の一時預かりや配送サービス充実化の推進に過ぎなかった。

今、手ぶら旅は「行き帰りに荷物を配送して身軽になる」のではなく、「必要なアイテムを現地でレンタルすることで、かさばる荷物自体から解放される」スタイルへと進化を遂げつつある。現在トライアルを行っているJR東日本のレンタルサービス「JRE 手ぶら旅」や、2021年にサービスを開始したANAの「ANA TEBURA TRAVEL in 沖縄」について見ていきたい。

「旅中」だけでない、「前後」にもメリットが

旅行の荷物というものは、事前に荷造りをする段階ですでに手間がかかる。荷物の持ち手の人数、旅行鞄の数や大きさに合わせ、持って行かなくてはならないアイテムを選別して、「これは割れものだから」「このシャツはシワになりやすいから」など取り扱いを気にしながら鞄につめていく。

乳幼児連れともなると、哺乳瓶、哺乳瓶の洗浄グッズ、抱っこひも、食器、ベビーソープ、予備を含めてそれなりの数が必要な着替え類やオムツなど、特に荷物は大きくなりがちだ。鞄に荷物が入りきらず、ヘアアイロンやPCスタンドなど「あると便利だが、なくてもなんとかなる」というアイテムを外して荷造りをし直すなんてこともあるだろう。

また、荷物が多くなればなるほど、旅行から帰ってきたあとの荷ほどきや後片付けにも手間がかかってしまう。かさばるアイテムや、できれば持って行きたいけれどあきらめがちなグッズが現地レンタルできる手ぶら旅は、事前準備や後始末を含めて旅行を身軽にしてくれ、なおかつ旅行をより快適なものにしてくれるのだ。

沖縄に特化した「ANA TEBURA TRAVEL」

ANAは以前から、他業種の企業と組んで手ぶら旅にフォーカスしたサービス展開をしてきた。2020年に第1弾のモニタープランを行った「ANA TEBURA TRAVEL」や、同じく2020年にハワイで実証実験を行った「ANA Travel Hands Free」を経て、2021年から沖縄本島でサービスが始まったのが「ANA TEBURA TRAVEL in 沖縄」だ。

「ANA TEBURA TRAVEL」は旅先に合った服、靴、カメラ、美容家電などをレンタルして宿泊ホテルで受け取れるというサービス、「ANA Travel Hands Free」は海外旅行の際にあらかじめレンタル予約をしたリゾートファッション、フィットネスグッズ、ベビー用品などを現地で受け取り・返却できるというサービスだった。

これらを受けて誕生した「ANA TEBURA TRAVEL in 沖縄」は、今のところ沖縄でのリゾートステイに特化してサービス展開されている。「ビューティーセット」「ファミリーセット」「リモートワークリラックスセット」「シュノーケリングセット」があり、それぞれオンラインで予約して宿泊ホテルでアイテムを受け取り・返却できるという。
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美顔器などこの機会に試してみたい美容グッズや、ベビーカーやモバイルモニターといったかさばるアイテム、シュノーケリングや水中撮影できるカメラのようなリゾートの場にあると嬉しいアイテムが沖縄旅行を彩ってくれる。
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文=アステル 編集=石井節子

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