店員自身がECサイトに服のコーディネート写真や動画を掲載し、それを経由した購入の売り上げ金額を記録する。LINEを介して友達登録をしたユーザーに、キャンペーン告知や商品紹介ができる「オンライン接客」サービスも提供している。
現在2100のブランドが導入し、スタッフのアカウント数は20万人を超え。スタッフスタート経由の年間流通総額は1500億円に上り、月間500万円以上売り上げるスタッフが約730人、1000万円以上では230人生まれている。最高額は1億3000万円で、店舗の月間売り上げの100倍だ。2021年からは、日本一のカリスマ店員を決める「STAFF OF THE YEAR」を毎年開催している。
なぜ、店舗のスタッフがファンをもち、カリスマと呼ばれるほどに成長することができるのか。EC店員たちを陰で支えるオンライン接客の変革者、バニッシュ・スタンダード代表の小野里寧晃(おのざと・やすあき)に話を聞いた。
信頼性薄れるインフルエンサー
小野里はまず「インフルエンサーという言葉の本質を捉え直すことが必要だ」と語る。「誰もが影響力を持てるようになった昨今、『インフルエンサー』という言葉のもつ意味が軽くなっていると感じています。本来の意味は、ある物事の大ファンで、ものすごく興味を持っていて、誰よりも知っている人のことで、だからこそ本質的な価値を広めることができるわけです。ただ最近は、発信力がある=インフルエンサーという認識になり、信頼性が薄れてきていると思います」
一方、店員はどうか。多くが、そのブランドやファッションに対する愛を持ち、商品知識も豊富だ。こうした点を踏まえ「ブランドにファンを生み出す人が、いわゆる“インフルエンサー”から店員に移行するのは当然の流れ」だという。
ただ、スタッフスタートを介すことでどのスタッフも売れるようになるわけではない。小野里は、カリスマ化していくうえで3つの過程を挙げる。
「カリスマEC店員」への3ステップ
1. 店舗での接客をオンラインに持ち込むまず重要なのは、店頭での接客とオンラインでの接客を同じ目線で考えることだ。しかし、この意識を根付かせるのは難しい。なぜなら、SNSで自分の写真をアップロードすることに慣れた人たちの多くは「自分がかわいく映りたい」といった気持ちが出てしまうからだ。