挑戦する20代に、「大丈夫だよ」と伝えたい
中村は、挑戦する30歳以下にスポットライトを当てる「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」という企画の意義を、次のように考えていた。「イノベーションの世界もですが、前例のないことをやっている人たちは、前に進んでいるか、後ろに進んでいるか、わからない。大人になって、経験を重ねていくと判断力がついてくるのですが、若い頃は必死だから、大丈夫なのか、不安になる。僕もずっとそう思っていました。だからこそ、20代で『自分は、本当に大丈夫かな?』と思っている時に、誰かに評価されると、頑張ろうって気になるんです。
私が20代の時も、そういうことを言ってくれる人が何人かいました。三菱商事時代も、『お前が言ってることなんて、全然わからないよ』とたくさんに人に言われている時に、はるか上の上司である本部長の方に『中村君、君の言ってることは、すごく面白い』と言ってもらえて。すごく勇気づけられて、自分はこのままでいいかもしれない、と思った経験がありましたから」
そんな中村は、もし20代の自分に何か伝えられるなら、言ってあげたいことがあるという。
「『あなたが居心地悪いのは、仕方ない。ストレスを感じなくていい。やってることは、おおむね正しいから、大丈夫だよ』ということですね。『シリコンバレーは、世界中から居場所がなかった人が来るんだよ』と師匠 兼 Sozo共同創業者のPhilが教えてくれたんです。Philもニューヨークで居場所がなく、日本やヨーロッパを周ってシリコンバレーにきた。私は日本に居場所がなかった。新天地を求めた、世界中のすごい変わり者たちで作っている世界がシリコンバレーなんです。だから、『自分がここにフィットしてない』っていうのは正しい感覚。それはそれでいいんじゃないか、ということです」
最後に、20代へのメッセージを聞いた。
「人は色々なことを言うじゃないですか。でも、人の意見は、変わるんです。これは歳を重ねてから学んだことです。僕たちが投資しているZoomも、Squareも、Coinbaseも、最初はみんなに散々な言われようでしたから。でも人の評価なんて、後から変わりますし、評価していたかどうかの記憶さえも、後から置き換わる。無茶苦茶に批判していた人に限って、『自分は最初から価値を分かっていたから、応援していた』みたいなことを言うから、大変なんですけど(笑)。人の意見や評価は、そんなものです。だからこそ、後から評価なんて変わるので、尖っている20代の皆さんには、人の意見をあまり気にせず、どんどん挑戦して、面白いことをやっていただきたいです」
ビジネス、アート、スポーツからサイエンスまで、次代を担う30歳未満の若者たちをエンカレッジするアワード「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」。今年の受賞者は、特設サイトで8月24日12時に発表する。