エンタテイメント分野の著名ジャーナリストであるNischelle Turnerも自らの背中越しの画像とともに、「I am enough, You are enough (私は私であることで十分、あなたはあなたであることで十分)」と“盛りアプリ”の機能に異を唱える投稿をした。有名女優のGabrielle Unionはアカデミー賞イベントの撮影シーンで、背を向けて報道陣の前に現れ、「#Turn Your Back」に賛意を示した。
結果として、同キャンペーンは、SNS含めて10億回以上表示され、TikTokユーザーだけでも1億1千万回以上視聴された。主要マーケットでは肯定的な評価が94%にも達したという。
筆者はこのキャンペーンに、広告的機知の素晴らしさを強く感じる。誰かがこうした行き過ぎた加工アプリに問題を感じたとして、他の方法ではこのような広範な影響力を行使するのは難しい。例えばメディアが記事にしたとして、それは問題点を指摘して行き過ぎた使用への注意を促す、ということに留まる場合が多いだろう。
しかし、「#Turn Your Back」は、多くの人を巻き込むことに成功した。簡単に反対意志を表明することを可能にしたからだ。Doveの主張に共感すれば、ただ“背を向け”れば良い。
そうした、行動を促す”仕組み”を発案し提供することで、元々意図していた、行き過ぎた加工アプリの暴走に対して一定の歯止めをかけることが可能となり、Doveのメッセージもより広まるわけだ。
これこそが、まさに“広告的機知”に富んだ、見本事例だと言えるだろう。