このプラスチックは、飲み水や食べ物など、環境のさまざまな部分に蓄積される。そして、食べ物や水などのさまざまな物をどこに送り込むことが多いかを考えてほしい。そう、体のさまざまな部位への入り口となる、穴や口の中に押し込んでいるのだ。
2018年にフォーブスで取り上げたように、これまでの研究でも人間の便、肺、胎盤からマイクロプラスチックが見つかっている。だが、これらはすべて「プラスチック氷山」のほんの一部にすぎないかもしれない。心臓からマイクロプラスチックが検出されたということは、このようなプラスチック片が全身に行き渡る可能性があることを示唆している。実際、あなたがすでに取り込んでいるプラスチックの量を考えると、歩くクレジットカードのようなものかもしれない。
ワクチンで体内にマイクロチップが埋め込まれるという根拠のない陰謀論が語られる一方で、毎日毎日、より多くのプラスチックが体内に入り込んでいるという事実については語られることがないようだ。マイクロプラスチックが人間の健康にどのような影響を及ぼすかについては、まだ十分な研究がなされていないが、良いことではありそうもない。すでにいくつか懸念される発見があり、さらなる調査が必要である。
たとえば、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された研究では、マイクロプラスチックがカキの繁殖を大混乱に陥れる可能性があることが判明した。これは明らかに、家族計画を立てようとしているカキにとっては良いニュースではない。これが人間に当てはまるかどうかはまだわからない。
また、私が2019年にフォーブスで取り上げたEnvironmental Science and Technologyに掲載された研究もある。この研究では、オオミジンコをティーバッグからのプラスチック粒子にさらした。この結果ミジンコたちの振る舞いに影響が出た。プラスティックに晒された後、オオミジンコの遊泳行動や発育が変化したのだ。これは、自分がミジンコの仲間であればちょっとショックかもしれないが、やはり人間には当てはまるかもしれないし、当てはまらないかもしれない。
ともあれ、私たちの身の回りにあるこのプラスチック汚染が、長期的に健康にどのような影響を及ぼすのか気になるところだ。このプラスチック汚染問題は、もはやミクロな問題ではなく、あらゆる生態系に浸透するマクロな問題にもなっているのだ。
(forbes.com 原文)