起業家

2023.08.17

ピボット決断の背中を押した友人の声

(左)投資家 村上浩輝 ツクルバ (右)起業家 福島良典 LayerX

Gunosy創業者の福島良典は2018年8月、同社の子会社としてLayerXを創業。19年にはMBO(経営陣買収)を行い独立した。LayerXはブロックチェーン活用のコンサルティングを主業としていたが、21年8月にピボット(事業の方向転換)を実施。現在は請求書処理、経費精算、稟議申請、法人カードなどの支出管理を一元化するSaaS「バクラク」シリーズを中心に事業を展開している。

中古・リノベーション住宅の流通プラットフォームを手がけ、19年に東証マザーズに上場したツクルバの村上浩輝は、エンジェル投資家としてLayerXに出資し、支援している。


村上:福島さんとのお付き合いは2015年から。インプットを兼ねてふたりで旅行などに行くこともあり、経営哲学から好きなマンガ、くだらない話までなんでも話せる友人関係です。クールに見えるけれど、実は福島さんはすごく熱い人で仲間思い。経営者としてリスペクトしているし、僕も内に炎を秘めるタイプなので、親しみを感じています。

福島:仲よくなっていくなかで、実は僕が先にツクルバに出資しているんです。17年の当時から会社の成長を見てきましたが、事業の本質的な価値にこだわるとか、自分のためでなく志をもって社会のために事業をつくるという根っこにある姿勢も村上さんとはよく似ていますね。

村上:僕自身、福島さんをはじめいろんな経営者の方に支えてもらっていまの立場がある。だから、ペイフォワードの精神で、信頼できる友人や紹介を受けた機会などにエンジェル投資をしています。数十社に出資してきましたが、LayerXを含め、ほぼ経営者だけを見て決めるのが僕の投資スタンス。重視している3つの視点が、掲げたビジョンを絶対に成し遂げたいという健全な野心、大きいビジネスをつくることに対しての自己効力感、難題に対して異次元の解決策を生み出す“現実歪曲力”を兼ね備えているかどうかです。

福島:僕は出資を仲間集めの一環と思っています。株主は社員と同じくらい会社と長くかかわっていく存在。経営の一歩先を行っているとか、最先端に触れている人を僕は重視していて、個人的に相談ができるメンターのような相手として、村上さんには出資をお願いしました。

村上:福島さんは、上場した起業家としては先輩ですし、僕が教えるような立場ではなくて、むしろ出資させてもらっている感覚。一緒にサウナに行ったりして、何気ない会話のなかで、それぞれのアンテナで得た情報を交換したり議論したりできる関係はすごくいいですね。
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文=眞鍋 武 写真=平岩 亨

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年8月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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