映画

2023.08.27 18:30

トップ映画評論家が震えた「本当は怖い映画」6選、1位は?

『犬鳴村』のエンドロールに映るこちらを覗く人の顔

邦画で言うならやっぱりジャパニーズホラーの第一人者、中田秀夫監督の『リング』(1998年)じゃないですか。松嶋菜々子さん演じる浅川玲子がマンションのベランダから室内に戻るシーンで、浅川の背中に人影のようなものが映ってるとかね。
『リング』価格 Blu-ray 4180円 発売元:KADOKAWA 販売元:ポニーキャニオン

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清水 崇監督の『犬鳴村』(2020年)のエンドロールの話はネットでも結構ざわついてましたよね。
『犬鳴村』©︎2020 「犬鳴村」製作委員会

『犬鳴村』(C)2020「犬鳴村」製作委員会


犬鳴村は福岡県に実在する心霊スポットで、立ち入った人は戻れなくなるっていう都市伝説があるのですが、映画もそれがベースになっています。実際に殺人事件も起きたようですね。


映画の最後に流れるエンドロールにトンネル付近に設置されたバリケードの映像が出てくるんですが、柵の間から誰かが覗いているようなシーンがあるんです。向こうからこっちを覗いている目のようなものですね。ぞわっとして、怖いですよ。

くりぃむしちゅー有田と鑑賞した『放送禁止』シリーズ

ただ、ぶっちゃけて話すと、「本当に怖かった作品は何ですか?」って聞かれるなら、僕は『放送禁止』シリーズを挙げますね。“フェイクドキュメンタリー”なので先に紹介した作品とは路線が異なりますが、とにかくめちゃくちゃ怖いです。

ネタバレしないようにさわりだけ話すと、『放送禁止』は2003年にテレビで放送されて以来、不定期で7回続いたシリーズで、劇場版も3本公開されています。
『放送禁止 DVD封印BOX』DVD-BOX:8360円 ©2006 EAST/フジテレビジョン 発売・販売元:ポニーキャニオン

『放送禁止 DVD封印BOX』DVD-BOX:8360円 (C)2006 EAST/フジテレビジョン 発売・販売元:ポニーキャニオン


フェイクドキュメンタリーなんで、嘘なんです。放送禁止でお蔵入りになったVTRを再編集したという体で、大家族や人情食堂に密着します。

何も知らずに見ると普通のドキュメンタリーなんですよ、『ザ・ノンフィクション』みたいな。ただ、ところどころに違和感を感じるし、不気味さも残るんです。でもそれが何かはすぐに気付かない。


僕は10年以上前にたまたま1話をテレビで見て、何これ?何が放送禁止なの?って何もピンとこなかったんです。2話も3話もわからなかったんですけど、5話の「しじんの村」を見て、その怖さに気付いちゃったんですよ。

気付いた瞬間は見たことを後悔したくらい。途中で観るのをやめたくらい震え上がりました。

これは長江俊和監督の大発明だと思ってるんですが、ドキュメンタリーだと思わせて観せる映像のなかに、実は監督のいろんな意図が隠されてるんです。

それに気付くと一気にホラーになる。意味がわからなければ、よくわからないドキュメンタリーで終わるのに、意味がわかると震え上がるくらい怖い。

その面白さにハマってから、たまたまくりぃむしちゅーの有田哲平さんと話が盛り上がって「鑑賞会をやろう」ってことになったんです。有田さんの家で10人くらいが集まって観たんですけど、気付いたのは3人程度。残りはただぼけーっと観てるんですよ。「え?何ですか、これ?」って。

テレビの関係者も多かったので、映像の編集なんかには違和感を感じてるんですよ。「カレー粉が2秒くらいアップになってたの、確かに変でしたよね」とか、「あの登場人物はなんで急にカメラを嫌がったんだろう」とか。

それを掘り下げていくとわかるんですよ。壁に書かれている言葉に、人の表情に、行動すべてに何かしら意味がある。それがつながったときに、めちゃくちゃ怖いんです。「うわー!!」ってなるんです。

興味のある人はぜひ観てほしいですね。特に5話の「しじんの村」はヤバイです。


コトブキさんでさえ怖すぎて観るのをやめたという「放送禁止」シリーズがダントツ気になるが、不気味な怖さゆえ、簡単に手が出せなそうもない。ホラー好きの勇者はぜひチャレンジしてみては。

(この記事はOCEANSより転載しています)

ぎぎまき=取材・文

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