アジア

2023.08.14 17:30

韓国で開催された世界ジャンボリーでトラブル続出、責任問題が深刻化

(Getty Images)

8月1日からボーイスカウト・ガールスカウトの祭典「第25回世界スカウトジャンボリー」(以降「世界ジャンボリー」)が、韓国・全羅北道セマングムで開催された(~8月12日)。

この祭典は1920年に始まり、4年ごとに行われるキャンプ大会で、世界スカウト機構が主催している。第1回はイギリスのロンドンで行われ、以降、世界各国を開催地として行われてきた。

毎回、世界中から満14歳から17歳までの数万人のスカウトたちが集まり、今年は当初159カ国の4万3000人余りの参加者が見込まれていた。

ところが、こんな世界的な大イベントに「準備不足とずさんな運営」というケチがついている。なぜそんなことになったのだろうか。

1カ月前になっても多くの問題が

今回の「世界ジャンボリー」の運営を担当したのは「2023セマングム世界スカウトジャンボリー組織委員会」である。これには、韓国政府から女性家庭部と文化体育観光部、行政安全部の長官が共同組織委員長として名を連ねている。そして組織執行委員長は全羅北道の知事である。

今回の「世界ジャンボリー」は、2017年にライバルのポーランドを押しのけ韓国のセマングムに決定し、2023年8月に開催されるまで、6年という準備期間があった。そして、予算も1171億ウォン(約127億円)と、2015年に開催された日本の山口県山口市での世界ジャンボリー(約41億円)に比べ、3倍以上あった。

その間、主催者の公務員たちは、「ジャンボリー開催事例調査」の名目でスイスとイタリアに出張した。しかし、スイスとイタリアはどちらも世界ジャンボリーを開催したことがない。

今回の世界ジャンボリーに関連するとして海外出張を100回ほど行っているが、このうちサッカー試合観戦やクルーズなど、単なる「観光」と疑われても仕方のないような海外出張が相次いだ。それに伴い、予算の拡大も一貫して要求してきた。

そして組織委員会は、大会の準備のため、1年前の2022年には同じ開催地で5日間ほど「プレジャンボリー」も開催し、1300人が参加した。インフラがまだ十分に整っていない段階で、やる必要があるのかという意見もあったが、強行した。組織委員会は、発電機を利用した電力の供給、トイレ、シャワー施設、給水台など、プレジャンボリー開催のための必要施設をつくると言っていた。

また、本大会開催の約1カ月前には、「ミニジャンボリー」での結果が発表された。ミニジャンボリーはその直前の6月16日から3日間行われ、参加者は451名で、本番の世界ジャンボリーで支給される予定の食材を使って炊事したり、参加プログラムやスカウト訓練などを行ったりしたという。

発表では総体的に満足度は比較的高かったというものだったが、実際にはシャワー施設とトイレには土が流入し、排水溝が詰まることが何度もあり、不便だったという。また、給水や害虫駆除に問題があったことも報告されていたが、ミニジャンボリーの期間には、幸いなことに深刻な事態は起こらなかった。

ここで疑問なのは、シャワー施設やトイレが汚く、排水溝が詰まり、さらに水も満足に供給されず、害虫が飛び交っているのに、どうして満足度が高いという結果になったのかということである。

これに対する対策は、80余人の清掃員を動員して、シャワー施設やトイレを随時清掃することであった。シャワー施設には、土の流入を防ぐために靴の保管場所を別途に指定し、案内表示板を立てることにした。害虫に関しては、本大会が始まる前までに虫捕集器の設置、随時防疫を実施することにした。
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文=アン・ヨンヒ

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