アジア

2023.08.14 17:30

韓国で開催された世界ジャンボリーでトラブル続出、責任問題が深刻化

(Getty Images)

さらに、開営式の途中で熱中症患者の申告を受けて、地元の消防当局ではもっと熱中症患者が発生する可能性を懸念し、組織委に進行中止を要請したが、組織委はそれを黙殺し、30分以上続行した。そのせいで、開営式だけで熱中症患者が100人余りも発生し、救急車が19台も呼ばれた。
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食べ物でも問題が発生した。2日目の朝食として配給されたゆで卵にはカビが生えていたという衝撃的な情報も入った。調べてみると、約40人の隊員に支給されたゆで卵約80個のうち、6個にカビが生えていたことが判明し、衝撃を与えた。

これに対し、組織委員会は「問題のあるゆで卵は発見次第廃棄処分にしたため、食べた参加者はいない。流通過程を徹底して調査し、供給業者に原因と対策を講じるよう要求した」と釈明した。「食べた人がいないから問題ない」という無責任な対応はさらに参加者をあきれさせた。

また、会場内のコンビニにも問題があった。例えば、トイレットペーパーを買うのに200メートルも並ぶ必要があり、値段も2ロールで4000ウォン(約400円)もしたという。参加者からは「全体的に高い。参加者を相手に暴利をむさぼっているようだ」という批判の声が上がった。
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これ以外にもコンビニでは、参加者たちが物を買うために集中するピーク時にカード端末が故障したり、モノの大半が未登録で買うこともできなかったりした。加えて、会場内に通訳はほとんど見当たらず、「自分が外国からの参加者だったら、二度と来たくない国になるだろう」と答える韓国人スタッフもいたという。

これから政治的攻防が始まる

こうなると、スカウトたちを派遣した側も、韓国政府に抗議したり、自ら救援策を講じるなどしたりして保護に出た。

英国は、2日間かけて自国のスカウトたちをセマングムの野営地からソウルのホテルに移動させた。英国は、単一国家としては最も多い約4500人を派遣した国なので、BBCのニュースとしてそのことが報道されると、組織委員会の内部ではかなり動揺した。

不満が出るのを恐れて、組織委員会は米国には配慮して、参加者を初日は京畿道の米軍基地に滞在させた。その後、セマングムに移動させたが、結局、今度は米国側が6日から米軍基地に移動させ、その後帰国させた。シンガポールの60人は、セマングムから離れ、大田の韓国水資源公社の人材開発院に入所し、そこでジャンボリーのスケジュールを消化した。

日本をはじめ一部の国から来たスカウトたちは、セマングムの劣悪な環境を伝え聞いて、合流せずソウルにとどまっていた。実際、4万3000人余りが参加する予定だったセマングムの世界ジャンボリーの会場で実際に登録したのは2万9000人であったという。

今回の不手際に関しては、政治的な攻防が行われている。なぜなら、2017年、朴槿恵元大統領の時代にまず世界ジャンボリー誘致が行われた。それが決まった矢先に、朴槿恵大統領はロウソクデモにより退陣させられ、政権が入れ替わった。文在寅前大統領の時にセマングムという会場が決められた。そして、実際に祭典が開催されたのは現大統領の尹錫悦のときだからだ。

そのため、これから政治的な攻防がしばらく続きそうである。日本のように自民党のなかで総理が決まるのとは違って、朴槿恵元大統領、文在寅前大統領、尹錫悦大統領は、それぞれ異なる政党だからだ。互いに自分たちには非がないことを言い合って、そのために世界の青少年たちの韓国への評価はどんどん下がるのではないだろうか。

文=アン・ヨンヒ

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