とにかく、準備する期間が6年もあって、開催1カ月前になっても多くの問題を残したままだったが、なぜか組織委員会は「開催までには問題を解決する」と豪語していた。
参加者たちがSNSに惨状を投稿
韓国といえば、BTSをはじめとするK-POPの世界的なヒットにより、各国の若者たちにとって憧れの国にもなっているという。そういう意味で、世界ジャンボリーはさらに韓国という国の魅力を世界の青少年たちにアピールできる絶好のチャンスであった。そして、8月1日にいよいよ世界ジャンボリーが開催される。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領はボーイスカウト出身で、開営の式典にも参加して、「幼いころのスカウトの経験は人生の大きな糧となった」と述べた。
しかし、世界ジャンボリーが開催されてから、連日のように悪いニュースが飛び込んできた。開催前から、激しい雨によりキャンプサイトには水たまりがいくつもできた。排水問題は依然として改善されていなかったのだ。
ここで、比較されたのは、2013年に日本の山口県で開かれた第23回世界スカウトジャンボリーだった。今回と同様、豪雨で開催地に水がたまったが、排水施設で補い、問題を解決したという。
では、韓国の組織委員会はどうしたのか。排水できない泥の上にプラスチック製パレットをおいてテントを設置させた。パレットの上にテントを設置したのはいいが、長靴なしでは移動ができないほどであった。水たまりのせいで、こんどは蚊や虫が飛び交った。また、トイレとシャワー施設は不足し、特にトイレは悲惨な汚さであった。
参加したスカウトたちは、SNSにこうした惨状を投稿した。韓国は127億円の予算を使って、自国の評価を地に落としてしまう結果になった。国際行事をまともに準備できない国として烙印を押されてしまったかもしれない。これは、現在誘致に必死になっている「プサンエキスポ」にも悪影響をおよぼす可能性がある。
8月1日、セマングム地域では猛暑警報が発令された。最高気温は34.5度を記録した。よって、熱中症患者が大量発生した。組織委員会によると、同日に発生した807人の患者のうち、400人以上が熱中症患者だという。こういった患者が発生するのは、珍しいことではない。前回の米国ウエストバージニア州や前述の日本で開催された世界ジャンボリーでも熱中症患者は発生した。
問題は、組織委員会の対応だった。組織委員会は「暑いのは参加者が十分認知しており、参加者の精神力は強く、野営生活に慣れている」と、突き放した態度を示したことだ。まだ年端もいかない未成年者に向かって「暑いのは知ってて来たんだから」という感じの悪い対応にスカウトたちも非難の声を挙げた。
また、ずさんな運営というものは他にもあり、グアテマラのスカウトたちが入場する際にハングル表記が間違っていたり、ドミニカ国の入場時の英語表記で本来は「Commonwealth of Dominica」と書かれるべきところが単に「Dominica」とだけされたりした。また、マラウイやマレーシアのスカウトたちの入場時には、国名表記や国旗も登場しなかった。開営式での音響や司会進行役の問題も俎上にあがった。