ミハイル・フリードマン、ピョートル・アベン、ゲルマン・ハーン、アレクセイ・クジミチョフの4人は、ロシアの民間金融コンソーシアムであるアリファグループの監査委員を務めている。米財務省は4人の米国内の資産を凍結したと発表した。4人はまた、米政府の許可がない限り、米国内での資産の売却や譲渡も禁じられた。
米国務省は財務省が科した制裁の理由について「ロシアのウクライナに対する戦争を助長し、利益を得ている者たちに説明責任を果たさせる」ためだと説明した。ウォーリー・アデイモ米財務副長官は「裕福なロシアのエリートたち」は「ロシア大統領府(クレムリン)がウクライナの人々に対して戦争を行っている間も、自分たちは通常通りに事業を続けることができるという考えを捨てるべきだ」と非難した。
米ブルームバーグによると、ウクライナ出身のフリードマンは以前、ロシアによる侵攻を「悲劇」と表現し「戦争は決して答えにはなり得ない」と非難した。他方で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を直接批判することはなかった。
フォーブスは、ロシア最大の非国営銀行であるアリファ銀行をハーンおよびクジミチョフと共同で設立したフリードマンの資産価値は、126億ドル(約1兆8000億円)に上ると推計している。ハーンは82億ドル(約1兆2000億円)、クジミチョフは64億ドル(約9300億円)、アベンは42億ドル(約6100億円)の資産を有している。
ロシアの複数の実業家やオリガルヒは昨年以降、プーチン大統領や自国政府との関係を巡り、米国をはじめとする国々から制裁を受けている。米財務省によれば、フリードマン、アベン、ハーン、クジミチョフは過去にオーストラリア、カナダ、EU、ニュージーランド、英国から制裁を受けている。3月に英政府の制裁対象となったロシアのオリガルヒには、サッカーのイングランドプレミアリーグ、チェルシーのオーナーであるロマン・アブラモビッチのほか、石油企業ロスネフチのイーゴリ・セーチン最高経営責任者(CEO)、金属企業En+グループの設立者オレク・デリパスカ、VTB銀行のアンドレイ・コスチン会長、ガスプロムのアレクセイ・ミレルCEOらがいる。
公認マネーロンダリング防止専門家協会(ACAMS)のジョージ・ボロシンは米紙ウォールストリートジャーナルに対し、制裁は「政策の観点から見れば、あまり効果的ではない」と語った。また、制裁は実業家を刺激し、ロシア政府に対する支援を強めるだけだと指摘する専門家もいる。
(forbes.com 原文)