米疾病対策センター(CDC)の最新の推計によると、7月23日~8月5日の2週間に、EG.5感染者は米国の新型コロナウイルス感染者全体の17.3%にのぼり、同じくオミクロン株から派生した「XBB.1.16」(通称アークトゥルス)を上回って主流になった。EG.5感染者の割合は4月30日~5月13日の期間には0.4%にとどまっており、ここ3カ月弱で急速に広がった。
世界保健機関(WHO)は7月19日、EG.5を「監視下の変異株(VUM)」に指定。今月9日には、警戒度が一段階高い「注目すべき変異株(VOI)」に引き上げた。VOIは警戒度が最も高い「懸念される変異株(VOC)」の一段下に位置づけられる。
WHOはEG.5について、感染者の増加を引き起こす可能性があるとする一方、オミクロン株のほかの派生型と比べて重症化しやすいという証拠はないため、公衆衛生に対するリスクは低いと評価している。
EG.5は、ウイルスの複製プロセスで複数の種類が合体した「組み換え体」と呼ばれるタイプだ。宿主(しゅくしゅ)が系統の異なる複数の新型コロナウイルスに同時に感染することで生まれる。EG.5は「XBB.1.9.2」系統の組み換え体となっている。
XBB.1.9.2と比べると、EG.5ではウイルスの表面のスパイクたんぱく質に、「465変異」と呼ばれる変異がさらに起きている。この変異は世界で確認されている新型コロナウイルスの遺伝子配列の約35%に存在し、XBB系統の多くの変異株にみられる。変異による影響などはわかっていない。
WHOのリポートによると、EG.5は2月に初めて確認された。すでに、スパイクたんぱく質に2つ目の変異がある「EG.5.1」という派生型が生まれている。