マウイ郡のリチャード・ビッセン・ジュニア郡長によると、火災の大部分は封じ込められていない。
専門家らは今回の山火事が拡大した主な要因として、地面の乾燥、ハワイの南西数百kmにあるハリケーン「ドーラ」による強風、そして燃えやすい低木や草の密集があるとみている。
米海洋大気局(NOAA)の「米国干ばつモニター」が10日に公表したデータによると、ハワイ州の80%超が「異常に乾燥」、約15%が「中程度の干ばつ」、3%弱が「深刻な干ばつ」とされている。
ハワイ州はここ数カ月とくに乾燥しており、過去1年には州の100%が干ばつに見舞われたことが2回あった。昨年の今ごろは州の95%超が異常な乾燥または干ばつとされていた。8月としては、2015年以降11.5〜68%強で推移してきた例年と比べてもかなり高い割合だ。
ハワイ大学マノア校の火災生態学の専門家であるクレイ・トラウアーニヒトは、火災の延焼を助長している要因のひとつは在来種よりも燃えやすい外来種の草の繁茂だと米紙ニューヨーク・タイムズに語っている。それによってハワイの島々は山火事に「とても弱くなっている」という。
米気象学会が2020年に発表した研究結果によると、2018年にマウイ島とオアフ島で発生した計3件の山火事では、焼失面積の85%超を外来種の草地や低木林が占めていた。これらの山火事も、沖合からのハリケーンの風によってあおられた。
ハワイ州では近年、山火事が増えている。2021年にはハワイ島で発生した火災で150平方km超が焼け、2018年のマウイ島とオアフ島での山火事では建物21棟が焼失した。
マウイ島での今回の山火事による死者数は、記録にある限りハワイ州史上最悪となっている。避難者も2000人を超えている。
ハワイ王国の首都だった海岸沿いの町ラハイナは、270棟以上が焼失するなど壊滅的な被害を受けた。ハワイ州選出のブライアン・シャッツ上院議員(民主党)は「ほぼ一面焼け野原」だと述べている。
全米の停電状況を追跡している「パワーアウテージ・ドット・US」によると、日本時間11日午前6時時点でハワイ州全体で約1万1000世帯・事業所が停電している。大部分はマウイ島が占めている。
バイデンの災害宣言に基づいて、被災者には仮設住宅や家屋補修向けの補助金をはじめとする復旧支援が提供される。
(forbes.com 原文)