欧州

2023.08.11 13:00

「ロシア版グーグル」創業の大富豪、ウクライナ侵攻を批判

Yandex創業者のアルカジー・ボロジ(Mikhail Svetlov/Getty Images)

Yandex創業者のアルカジー・ボロジ(Mikhail Svetlov/Getty Images)

ロシア最大のテクノロジー企業Yandex(ヤンデックス)を創業した大富豪アルカジー・ボロジは、ロシアのニュースサイト「ザ・ベル」に送付した声明で、同国のウクライナ侵攻を「野蛮」と非難した。ロシアの富豪が侵攻を公に批判するのはまれ。

ボロジは声明で、自身の立場を明確にしたいと述べた上で「ロシアのウクライナ侵攻は野蛮であり、私は全面的に反対する」と表明。ウクライナには自身の友人や親戚が多くおり、同国の人々に対する日常的な攻撃に「ぞっとしている」と述べた。

ボロジは昨年、ウクライナ侵攻に関連し欧州連合(EU)から制裁を科されたことを受け、ヤンデックスの最高経営責任者(CEO)と取締役を辞任している。最近、自身のウェブサイトを更新した際には、自己紹介文を「カザフスタン生まれのイスラエル人テック起業家」に変更したことで、ロシアとの関係を抹消しようとしていると批判されていた。

声明ではこれについて、自身は2014年にイスラエルに移住したものの「私はこの国(ロシア)の行動について責任を共有しなければいけない」と言明。移住はヤンデックスの国際事業拡大を目指したものだったが、ロシアの侵攻開始後、自身が同社との関わりを断つ必要があるとの結論に至ったと説明した。


ロシア最大手の検索エンジンを運営し、時価総額も国内テック企業で1位のヤンデックスは「ロシア版グーグル」とも呼ばれている。

EUは制裁の理由として、ボロジが侵攻を「物的または経済的」に支援したと主張しているが、本人はこれを否定している。ボロジはさらに、ヤンデックスが侵攻に関するロシア国営メディアのプロパガンダを推進したことをめぐっても制裁対象となっている。

オランダに本社を構えるヤンデックスの持株会社は、国際事業の強化を目指し、ロシア事業の売却を試みてきた。ロシア事業を約70億ドル(約1兆円)で売却するスピンオフ計画は、ウラジーミル・プーチン大統領を支持するウラジーミル・ポターニンやワギト・アレクペロフといったオリガルヒ(新興財閥)の関心を集めてきたと報じられている。

フォーブスは、ボロジの保有資産額を約11億ドル(約1600億円)と推定している。ボロジはヤンデックスのCEOと取締役を辞任した後も、同社の個人筆頭株主となっている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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