イリノイ大学でコンピュータ工学の学士号を取得したクワンは、2001年にアルティウス社をソフトウェアサプライヤーのSimplex Solutions(シンプレクス・ソリューションズ)と合併させた後に、米国のチップ企業Cadence Design Systems(ケイデンス・デザイン・システムズ)に3億ドルで売却した。
世界5社が市場を争う最先端チップ
アルチップは、7ナノメートル以下の最先端チップの設計をさらに深化させ、参入障壁の高いビジネスを囲い込む堀を築きつつある。現在、同社には直接的な競合がおらず、類似した製品を製造しているのは、中国のGlobal Unichip(グローバル・ユニチップ)や米国のMarvell Technology(マーベル・テクノロジー)を含む5社のみとなっている。昨年のアルチップの売上の68%を、7ナノメートル以下のカテゴリのチップが占めていた。同社は、競争に勝ち残るために2022年と2021年に約6900万ドルを研究開発に投資した。調査会社ガートナーのアナリストのアラン・プリーストリーによると、チップの小型化が進むにつれ、最先端セグメントへの参入障壁は高くなるという。玩具のような単純な用途向けのチップの開発コストは1000万ドル程度だが、AIなどの高度なアプリケーションの場合、企業は約3億5000万ドルを開発に投じるという。「高度なチップの設計や開発は、大量のリソースが必要で困難がともないます」とプリーストリーは述べた。