MITテクノロジーレビューは2022年4月の記事で、ワールドコインがケニアを含むアフリカとアジアの低所得国で「このコインが何であるかをほとんど理解していない人々」から生体データを収集しているとして非難していた。
この記事の著者が導き出した結論の1つは「貧しい人々が法的な保護をほとんど受けられない地域で、この種のデータ収集を行うのは、安上がりで簡単だ」というものだった。この主張に対し、ワールドコインは、欧州諸国を含む先進国でも活動していると反論した。「ワールドコインは常に、世界全体を代表する各国のサンプルで実地テストを行おうとしています」と広報担当者は述べていた。
イーサリアム創設者も懸念を表明
イーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブテリンは、ワールドコインの世界的なローンチ直後の自身のブログで「人々の身元を確認するための万能なアプローチは存在しない」と述べ、ワールドコインに関連する大きなリスクは、世界中でオーブを利用できる場所が限られていることと、虹彩スキャン中にユーザーが意図した以上の情報を不注意で開示してしまう可能性があることだと主張した。ブテリンはまた、オーブのデバイスに欠陥があるかどうかを検証するのが困難で、潜在的なバックドアの余地が残されていると述べた。「ソフトウェアのレイヤーが完璧で、完全に分散化されていたとしても、ワールドコイン側はシステムにバックドアを挿入する能力を持っており、フェイクIDを作成できる」と彼は述べた。
ブテリンはさらに、何者かが、虹彩スキャンをパスできる「偽の人間」を3Dプリンターで作成する可能性についても言及した。
「効果的で信頼性の高い個人認証システムを作るという課題をクリアすることは、特に既存の暗号コミュニティから遠く離れた人々の手にかかると、かなり難しいように思われる」とブテリンは主張した。
(forbes.com 原文)