ICOの規定では、生体データを処理するための同意は、自由な選択に基づくもので、不利益を被ることなく撤回できる必要がある。しかし、ワールドコインが収集した生体データは、ブロックチェーン上に記録されるため、変更したり撤回したりすることは不可能だ。
投資家からも懸念の声
2019年にサム・アルトマンとともにワールドコインを立ち上げたアレックス・ブラニアは、ワールドコインが分散型だと主張しているが、皮肉なことに、このプロジェクト自体が中央集権的なボトルネックとして機能しており、コードをオープンソース化する計画は延期されている。「世界の大勢の人々が、生体データを政府以外の組織に差し出すよう仕向けるのは、すばらしいアイデアだとは思えない」とワールドコインへの出資を見送ったベンチャーキャピタリストはいう。彼らの取り組みは、他の暗号資産関連の企業が同様な生体データの収集を行うための前例となり「リーダーたちが腐敗していることが判明した場合、危険な結果を招く可能性がある」とその人物は述べた。
一方で、ワールドコインは、AIの進歩によって、オンライン上で人間とボットを区別することが非常に難しくなっているため、従来のオンライン認証の仕組みを、分散型のデジタル検証システムに置き換えることを目指している。
「フィクションと現実を区別するのはますます難しくなっており、金融や民主主義のシステムでは特に懸念が高まっている」と取引プラットフォームを運営するルイス・ショーマンは先日の調査報告書で述べていた。「ワールドコインは、AIによる誤情報から人々を守り、オンラインで誰が何を信用すべきかを明確にしたいと考えている」